中国は仮想通貨禁止を解除するのか
中国が仮想通貨取引に対する姿勢を再考しているかどうかについて、仮想通貨市場内外で議論を引き起こしている事が分かった。
2021年9月以降、仮想通貨取引が大幅に禁止されているにもかかわらず、中国国内での関心は顕著に高まっており、WeiboやWeChatなどのプラットフォームでのビットコイン(Bitcoin/BTC)の検索トレンドの急増が、改めてこれを証明している。現在、特にデジタル資産に対する香港のよりオープンなアプローチを考慮し、潜在的な政策転換について推測する声も聞こえている。NEXTMONEYの2024年3月5日付け特集記事「ビットコインへの関心が高まる中、中国政府は仮想通貨禁止警告を発令」で報じたように、現地メディア中国経済日報は投資家に対し、ビットコインと関連商品に引き続き警戒するよう繰り返し警告。同国はそのような取引を現在も禁止していると強調。シャオ・サ(Xiao Sa)弁護士はこの立場をさらに強調し、中国本土の居住者が合法的に仮想通貨取引に従事することは不可能であると強調したうえで、次のように語っている。
ビットコインETFの承認は、仮想通貨が短期的に画期的な進歩を遂げることを意味するものではない。
衰えることのない仮想通貨への関心
中国政府によるこうした制限にもかかわらず、同国内の投資家間で仮想通貨の魅力は衰える気配をみせていない。
ビットコインが年初から58%という驚異的な上昇を見せ、史上最高値を更新したことで、関心が再燃。これは中国経済の広範な減速と株式市場の低迷に対抗するものである。これにより、特に香港では個人や金融機関が仮想通貨関連のベンチャーを模索するようになった。包括的な禁止にもかかわらず、中国の仮想通貨市場は驚くべき回復力を示している。2022年7月から2023年6月までの推定取引額は864億ドル(約12.8兆円)であり、アンダーグラウンドマーケットの活気は否定できない。
グレーマーケットディーラーの利用からデジタル資産取引に対する香港の緩い規制枠組みの活用に至るまでの手法は、禁止を乗り越える投資家の創意工夫の証だ。コインセンターのニーラジ・アグラワル(Neeraj Agrawal)氏は次のように語っている。
中国は仮想通貨取引を禁止する取り組みが失敗に終わったようで、厳しい資本規制が危険にさらされている可能性がある。
個人投資家を超えて機関レベルの幅広い関心を集める中国の仮想通貨市場
国内市場の停滞に直面している金融機関は、デジタル資産を成長手段として考えるようになっており、特に香港にある大手中国金融機関の子会社が仮想通貨分野に進出し、個人投資家を超えて機関レベルにまで及ぶ幅広い関心を浮き彫りにしている。
この状況は複雑なシナリオを示す一方で、中国政府の厳しい警告と法的規制は、デジタル通貨に対する慎重なアプローチを反映しており、これは金融の安定性と資本逃避に対する懸念から生じていると考えられている。また、経済的圧力と仮想通貨による高収益の誘惑により、個人や団体はこれらの制限を創造的に回避するよう促されているのが現状だ。
堅調な地下仮想通貨市場は、政府の強硬姿勢と並んで、中国の仮想通貨規制枠組みの将来の方向性について疑問を引き起こしている。公式の方針は揺るぎないものの、香港の動向により、より微妙なアプローチへの道が開かれる可能性がある。