ベラルーシのルカシェンコ大統領が仮想通貨マイニングを検討
ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領は、電力供給過剰と需要増加を理由に、新任のエネルギー大臣らにエネルギーインフラの改善を優先し、国内での仮想通貨マイニングを検討するよう指示した。
現地メディアの報道によると、ルカシェンコ大統領は、仮想通貨マイニングの可能性について、同国の余剰電力とデジタル資産への世界的な関心の高まりに言及。新任のアレクセイ・クシュナレンコ(Alexei Kushnarenko)エネルギー大臣に対し、仮想通貨マイニング産業の開発を開始するよう指示し、余剰電力からさらなる収入源を生み出そうとする意向が高まっていることを示唆したうえで、次のように述べた。
電力は余っている。彼らにこの仮想通貨などを作ってもらいましょう。世界がどうなっているかはご存じでしょう。特に世界最大の経済大国ですから。
原子力発電所稼働による電力余剰
ベラルーシは仮想通貨マイニングのために投資家を誘致するか、国が支援するマイニング事業を設立するかのいずれかを選択できると示唆し、当局に規制を簡素化し、実行可能な計画を提案するよう求めた。
2023年5月にベラルーシ原子力発電所の第2ユニットが稼働したおかげで電力が余剰となっている。第2原子力発電所の建設も議論されている真っただ中だ。しかし、電力網はまだ問題だと同大統領は3月4日の政府会議で指摘。その要因として、最近南ベラルーシで発生した災害に言及した。
同国で仮想通貨への関心は目新しいものではなく、元エネルギー大臣のヴィクトル・カランケビッチ(Viktor Karankevich)現副首相は2023年12月、国内ですでに仮想通貨マイニングファームが稼働していると発表。ロシアと中国の投資家の間では仮想通貨マイニングへの関心が高まっており、電力システムはそれに対応する準備ができていた。さらい2024年12月、デニス・モロズ(Denis Moroz)現副エネルギー大臣は、すでに120MWを消費しているベラルーシでは仮想通貨マイニングに活発な関心がある事を明らかにし、次のように述べている。
大きな見通しがあり、多くの要望があります。近い将来、新しいプロジェクトの実施が見られると思います。
ベラルーシではCBDC作成の可能性も
ルカシェンコ大統領は1月、独自のCBDC(中央銀行発行デジタル通貨を作成する可能性があると明らかにした。
専門家と政府はすでに検討の段階に入っており、仮想通貨で支払いをするのは都合が良く、(すでに)開発に取り組んでおr、余剰電力を最大限に活用していることを明らかにした。
ロシアの情報サービスRBCによると、ベラルーシ国民は2017年から合法的に仮想通貨を所有し、取引している。9月、ルカシェンコ大統領は詐欺を避けるため、P2P(ピアツーピア)取引に外国の仮想通貨プラットフォームを使用することを禁止する法令に署名し、これらのプラットフォームでの取引は禁止されていなかった。
ベラルーシは、ヨーロッパ諸国内の他国と比べてエネルギーコストが安く、ヨーロッパで電気料金が最も安い3カ国のうちの1つであり、ベラルーシの安くて豊富なエネルギーは、仮想通貨マイナーの関心をそそっているることから、今後、同国の動向が注目されている。