アルゼンチンの通貨切り下げで同国内ビットコイン価格がATHに到達

アルゼンチンは通貨の大幅切り下げでビットコイン価格がATHに到達

アルゼンチン新大統領の最初の大きな動きのひとつとして、経済的緊急事態に対処するために自国通貨を大幅に切り下げたことで、国内ビットコイン価格がATH(過去最高値)に到達したことが明らかになった。

2023年12月12日(火曜日)、新たに選出されたハビエル・ミレイ(Javier Milei)大統領は、エネルギーと輸送補助金の削減と並行して、アルゼンチンペソ(※通貨コード:ARS)の大幅切り下げを発表。この措置により、アルゼンチンペソは1ドル=400ペソから1ドル=800ペソへと50%切り下げられ、国内ビットコイン価格がATHに到達したとのこと。

ペソの切り下げは、アルゼンチン大統領が政府の公式評価を民間市場の評価と一致させようとしていることを意味しており、一時期、これらの民間市場の一部では、ペソが1ドルあたり1,000円より高く取引されていた。ルイス・カプート(Luis Caputo)経済相は、数カ月の間、以前より経済が悪くなる可能性を指摘。同国には財政赤字への中毒があると付け加えた一方、ミレイ首相は、アルゼンチンには他の選択肢を検討する時間はないと述べた。

アルゼンチンペソに対してBTCは史上最高値を更新

アルゼンチンでは、政府活動における支出削減もみられており、例えば、政府広告は今後1年間認可されず、現在1年までない契約は更新されず、公共交通機関への補助金は削減され、電気、ガス、水道への補助金も中止されている。

実際、アルゼンチンは年間143%のインフレに見舞われ、通貨価値は暴落。同国民の10人に4人が貧困に陥っているとの報道もあり、過去10年間、年平均40%のインフレ率を記録している。さらに、この動きはアルゼンチンの中央銀行が金利を過去最高の133%まで引き上げたわずか2カ月後のことであるとのこと。また、11月の大統領選挙で勝利し、資本主義者を自認するミレイ氏は、親ビットコイン(Bitcoin/BTC)、反中央銀行でもあるため、この動きは仮想通貨コミュニティの間で称賛されている。

ビットコインに力を入れているカナダのレストランチェーンTahini’s(タヒニーズ)は、6つの比較表を掲載し、トルコ、エジプト、ナイジェリア、アルゼンチン、レバノン、パキスタンの市民にとってのビットコインの重要性を指摘。特に、アルゼンチンのビットコインは1,500万ペソ(約3,800万円)弱で購入でき、12月9日に現地通貨に対して史上最高値を更新し、1,600万ペソ(約4,000万円)を超えた。通貨の大幅な切り下げにより、この乖離(かいり)は悪化の一途をたどっており、その他の地域でも、ビットコインスポット価格は2%下落し、40,880ドル(約580万円)で取引されている。

ミレイ氏は、アルゼンチン大統領になるための選挙運動中にいくつかの高尚な計画をすでに実行に移しており、その中にはBCRA (Banco Central de la República Argentina:アルゼンチン中央銀行)を廃止する計画も含まれている。