EU(欧州連合)MiCA仮想通貨法案が再延期
EU(欧州連合)の仮想通貨の顧客は、EU議会が仮想通貨市場における法案の草案を、2022年11月の発表以来、2度目の延期を発表したことが分かった。
今回の新たな延期は、2022年10月に最終決定された後、2023年2月に400ページに上る文書を24言語への翻訳が遅れている事が原因とのこと。今回の発表により、草案のリリースは2023年4月17日まで再び延期される事となった。
必要な法的手続きに従い、EU議会は2023年4月中旬に開催される本会議でMiCAについて討論。会議後、議員は法案の技術仕様の起草に12~18カ月の時間を用するとみられている。その結果、この法案は2024年にのみ発効する可能性があると危惧されている。
法案では仮想通貨に関する全体的なEUの枠組みの欠如への警告も
EUブロック全体で規制を統一するように設計された新法案は、仮想通貨の発行者に対し、反マネーロンダリング(反資金洗浄)と市場操作規則を遵守するよう強制しており、法案の中で次のように警告されている。
仮想通貨に関する全体的なEUの枠組みの欠如は、規制の断片化につながり、単一市場での競争を歪め、仮想通貨サービスプロバイダーが国境を越えて活動を拡大することをより困難にし、規制アービトラージを引き起こすだろう。
また、同法案はEUの既存金融サービス法以外で、ステーブルコインを含む仮想通貨の消費者保護を義務付けている。さらに、ステーブルコインの発行者は100%の準備金を保持し、苦情手続きを実施しなければならない。マイナーおよびマイニング事業者は、気候変動への懸念を軽減するため、エネルギー消費を報告するよう求められている。
国家規制当局に翻弄されるEUの仮想通貨投資家
24の言語での法案リリースの遅れは、オフショア取引所に投資するヨーロッパの仮想通貨投資家のリスク状況を実質的に変えることはないかもしれない。
当時世界最大規模の仮想通貨取引所と肩を並べていたFTXの崩壊後、欧州銀行監督局のホセ・マヌエル・カンパ(José Manuel Campa)長官を含む数人の業界専門家や議員は、法案には「盲点」があることを認めている。具体的に…、銀行家は、法案はEU市民が海外の仮想通貨会社と取引することを妨げるものではないと指摘。MiCAは、ブロック全体にサービスを提供するため、1つの国家当局に会社が準拠することのみを必要とする。キプロスの規制当局は、キプロスにあるバハマの取引所FTXのEUビジネスユニットのEUライセンスを一時停止している。
(8/8) CASPs must have physical presence in an EU country + get authorization in that country.
Unless you provide services at the “own exclusive initiative” of a customer = No marketing allowed!
CASPs licensed in 1 EU country can serve the entire EU bloc of 450 million people!
— Pat_Kras (@Solofunk30) January 17, 2023
CASPは、EU加盟国に物理的に存在し、その国で承認を取得する必要があります。
顧客の「独自のイニシアチブ」でサービスを提供しない限り、マーケティングは許可されません。
1つのEU加盟国で認可されたCASPは、4億5,000万人のEUブロック全体にサービスを提供できます。
フランスのフランソワ・ヴィルロワ(Francois Villeroy)中央銀行総裁は、ブロックがMiCAを待っている間、フランス政府に厳格なコンプライアンスを実施するよう要請したうえで、2023年1月5日の新年のスピーチで、次のように述べている。
フランスの市場監視機関であるACPR(Autorité de Controlrôle Prudentiel et de Résolution=健全性管理および解決機関)は、2022年5月に、大手仮想通貨取引所Binanceをデジタル資産サービスプロバイダーとして運営することを承認している。