CFTC議長が仮想通貨市場におけるFTX危機再発の可能性を警告

CFTC議長がFTX危機再発の可能性を警告

CFTC(商品先物取引委員)のロスティン・ベーナム(Rostin Behnam)委員長は仮想通貨における継続的なリスクを警告し、FTXのような危機の再発を防ぐための迅速な規制措置を求めた事が分かった。

同委員長によると、FTXの混乱に満ちた没落と前CEO(最高経営責任者)のサム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)氏の有罪判決にもかかわらず、仮想通貨市場で同様の危機が起きる可能性は依然として高いという。ジョージタウン大学(Georgetown University)で最近行われたカンファレンスで同委員長は、市場状況は1年前とは異なっているものの、依然としてFTXのようなイベントが再び起こる可能性を秘めていると強調した。投資家の保護とシステミックリスクの軽減を目的とした同氏の行動の呼びかけは、規制の空白の中で反響を呼んでいる。仮想通貨市場は、コロナパンデミック発生以降進化してきたが、FTX崩壊を促進した根本的な脆弱性にはまだ対処しなければならない。

議会は複雑な仮想通貨規制に取り組む

仮想通貨を規制する立法プロセスは時間がかかり複雑だが、ステーブルコインの規制と仮想通貨規制の包括的な枠組みの確立を対象とした、2つの重要な法案が下院金融サービス委員会を通過することに成功した。

しかし、彼らの挑戦まだ終わっておらず、これらの法案は上院に移る前に下院で全票可決する必要があり、支持を集めるのは難しい可能性がある。さらに、他の議員もマネーロンダリング(資金洗浄)や制裁回避における仮想通貨の使用と闘うための厳格な法案制定を求めている。同委員長は、これらの立法努力は「保留パターン」にあるとみており、議員間合意や緊急性の欠如を示していると指摘。議会でのこの停滞により、デジタル商品市場は包括的な規制が欠如し、不安定な状態に陥っている。

CFTC議長は仮想通貨の透明性を求める

ベーナム委員長のメッセージは、明確な規制ロードマップの必要性を強調しており、同委員長は前年(2022年)の上院銀行公聴会での立場を繰り返し、デジタル商品市場を包括的に規制する上でCFTCの権限は限られていると強調している。

適切な法的権限がなければ、CFTC やその他の規制機関は仮想通貨市場に内在するリスクに先制的に対処できなくなる。こうしたリスクの持続と、立法プロセスの遅さは、米国における仮想通貨規制の将来に憂慮すべき状況を描いている。同委員長の行動喚起は、FTX崩壊のような過去の出来事を単に反映しているだけでなく、仮想通貨規制に対する将来を見据えた懸念でもある。デジタル通貨の急成長分野におけるイノベーションの促進と、投資家保護、市場の健全性の確保とのバランスは、議員や規制当局にとって同様に重要かつ未解決の課題のままだ。