シンガポールによるマネーロンダリング捜査拡大で中国の仮想通貨顧客が標的に

シンガポールの銀行が海外顧客の口座に対する監視を強化

シンガポール当局が疑わしいチャネルに対して強硬姿勢での調査を進展させている中、仮想通貨関連のマネーロンダリング(資金洗浄)との戦いが続く中、2023年9月21日(木曜日)のブルームバーグの報道によると、シンガポールの銀行は継続中のマネーロンダリング調査を中国系顧客にも拡大した事が分かった。

捜査の最中、彼らは8月以降、180万ドル(約2.6億円)の仮想通貨、現金、不動産を凍結し押収している。シンガポールのマネーロンダリング対策の一環として、銀行は新規口座開設や中国生まれの顧客との取引を精査。彼らは、依然としてデジタル通貨を保有している人やマネーロンダリング活動に関与している人の特定を目指している。銀行の1つは、トルコ、キプロス、カンボジア、ドミニカ、バヌアツの顧客の一部の口座を閉鎖する予定であり、他銀行も、他国の国民に属する口座を個別に調査し、そのような顧客からの資金をブロックしている。

中国の裕福層10人に対して財産などを押収

これらの捜査は、警察がマネーロンダリング違反で逮捕、起訴した裕福な中国人10人に影響を与えており、シンガポール警察は、これらの人物の財産、現金、仮想通貨を押収したと発表した。

捜査によると、これらの中国人はシンガポールに居住しており、シンガポールで違法賭博事業を運営している疑いがある。犯罪と逮捕のニュースにより、金融ハブとしてのシンガポールの評判が曖昧になっている。このような顧客を抱える銀行には、ジュリアスベアグループ(Julius Baer Group)、クレディ スイス(Credit Suisse)、シティグループ(Citigroup Inc.)、ユナイテッドオーバーシーズバンク(United Overseas Bank)、オーバーシーズチャイニーズバンキング(Overseas-Chinese Banking)などだ。

シンガポールに本拠を置く証券取引所であるDBSグループ・ホールディングスの広報担当者は今回の展開についてコメントし、シンガポールの規制ガイドラインがすべての銀行にマネーロンダリング対策のリスクを高い基準で実施することを義務付けていることを認めた。ただし、この規制は、特定の出身者や特定のパスポートを保有する顧客に対する銀行サービスを拒否することを義務付けているわけではない。同広報担当者は、顧客の出身地以外にも、他のリスク要因が疑惑や強制措置の引き金となるはずだと強調している。

シンガポールの厳しい仮想通貨審査

シンガポールは2023年から仮想通貨規制に関してタカ派的な姿勢をとっている。

ブルームバーグは4月5日、この問題に詳しい情報筋の話として、シンガポール中央銀行が警察と連携し、銀行が仮想通貨口座開設のための標準的な審査アプローチを設定できるよう支援したと報じた。また、同年7月には同国のMAS  https://www.mas.gov.sg/ (シンガポール金融管理局)が取引所による仮想通貨の貸し出しとステーキングを禁止。規制当局は決定の理由として、顧客の資金の安全性に関する懸念を挙げた。

それにもかかわらず、同国は強化された監視を維持しながら、仮想通貨ガイドラインの設定をさらに進めている。シンガポール銀行協会(The Association of Banks in Singapore)は、FAST(Fast and Secure Transfers:高速かつ安全な転送)とタグ付けされた銀行間決済システムに参加する企業に対し、190の主要決済機関ライセンスをリリースしており、ライセンスを受けた企業にはリップル(Ripple)を含む仮想通貨決済会社約11社が含まれていた。

一方、ライセンス発行には批判も集まっており、フィナンシャル・タイムズに掲載された書簡は、仮想通貨会社にシンガポールのFAST決済システムへのアクセスを許可することで、仮想資産の支払いを小売銀行の預金と賢明に結び付けていないとしてMASを非難している。しかしMASは、強固なマネーロンダリング防止規則を備えた仮想通貨決済会社にのみライセンスを与えていると述べた。

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