中国に対してブラックロックが親中姿勢からファンド閉鎖に急転換

ブラックロックが中国株の格付けを調整

資産9兆4,000億ドル(約1,395兆円)を誇る世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)は、ここ数日で親中姿勢を劇的に転換し、ファンドを閉鎖し、中国株について悲惨な見通しを発表した事が分かった。

同社は2023年9月18日(月曜日)、中国株の格付けを「中立」から「オーバーウエート」に引き下げた。マクロ経済への十分な根拠のある懸念から中国から撤退している可能性があるものの、中国との関わりがここ数週間で大きく煽った恐怖、不確実性、疑念(FUD)を考慮すると、皮肉な観察者はこの方針転換を面目を保つ努力と見る可能性もある。大手メディアブルームバーグの報道によると、この調整は主に中国の商業用不動産業界の支払い能力の不足に関係しているとのこと。

米国議員による中国不動産セクターへの注目

米国の議員らはここ数カ月、信用に大きく依存した中国の不動産セクターの不安定性にますます注目を集めており、恒大集団(Evergrande Group)や巨額負債を抱えた他複合企業の不審な会計慣行についても同様である。

中国警察は、恒大企業の債務の支払いを何人も滞納したとして、恒大スタッフの一部を拘束するという思い切った措置を講じている。このセクターの不安定さがブラックロックのアナリストに好印象を与えたはずがなく、彼らの格付け調整は、ブラックロックが今月初めに中国フレキシブルエクイティファンド(Flexible Equity Fund)を11月7日付で終了するという決定を下したことに続いて行われている。同ファンドは2017年10月に設立されて以降、わずか2,230万ドル(約33億円)の資産しか得られず、大失敗に終わっている。

ブラックロックは政治的逆風を感じているのか

ブラックロックは最新決定を純粋な経済計算の観点から説明した可能性があるものの、米国議員らの動きにより、同社と中国企業や資産との関係についてかなりの警戒が高まっていることに疑いの余地はない。

8月初め、同社は中国の軍事・スパイ計画と関係のある企業への米国民の資金投資に関与したとして、米議会委員会から厳しい監視を受けた。同社と米・ニューヨークに本拠を置く金融サービス企業MSCIの両社は、中国共産党に関する下院特別委員会から、重大な懸念があるとの通知を受け取っている。具体的には、中国の警察や軍と関係がある、あるいは関係があることが判明している60社以上の中国企業が、資産運用会社2社が承認した投資を通じて資金流入を受けていたことについてである。

中国の人権実績を考慮すると、このような暴露は間違いなく恥ずかしいことと捉えていると予測される。ブラックロックは現在、完全なダメージコントロールモードになっている可能性がある。中国株の格付け調整と中国ファンドの閉鎖により、ブラックロックは中国政府の応援団とは言えず、なかには「少なすぎるのではないか、遅すぎるのではないか」と疑問に思う人もいると予想されている。