FATFトラベルルールが与える影響
英国は仮想通貨業界に積極的に関与し、専門家や規制当局と提携して証拠に基づく規制の枠組みを確立しており、FCA(金融行動監視機構)は、英国では仮想通貨が合法であることを明確にし、該当する暗号資産の種類を概説したガイドラインを発行した事がわかった。
2020年1月10日以降、仮想通貨に関与する企業はFCAに登録し、マネーロンダリング(資金洗浄)防止AML規制に準拠することが義務付けたほか、英国のVASP(仮想資産サービスプロバイダー)に対するFATF(金融活動作業部会)のトラベルルール要件を含めている。2023年9月1日より、FATF渡航規則が英国で発効され、英国政府は、VASPに対し、2022年7月21日から順守するための12カ月の猶予期間を与えていた。この規則は、英国のVASPに対し、金額にかかわらず、すべての取引について特定の情報を転送することを義務付けている。
FCAが英国における暗号資産の種類を概説したガイドラインを発行
少なくとも 1 つの英国外の取引相手が関与し、仮想通貨が1,000ユーロ(約15万円)を超える取引の場合、より広範なデータセットが必要となる。
同規則は、仮想通貨間の事業譲渡に伴う必要があるPII(個人識別情報)の種類も指定。英国を拠点とする送金では、国際送金よりも必要なPIIが少なく、受益者VASPは3営業日以内に追加情報を要求できる。
自己ホスト型ウォレットを使用したトランザクションでは、情報の送信は必要ないものの、VASPは、顧客関係、移転の目的と価値、取引の頻度を考慮したリスク評価に基づいて、不足している情報を要求する場合がある。受益者VASPは、仮想通貨間の事業譲渡を受ける際に特定の義務を負う。必要な情報がすべて受信されていることを確認し、顧客のデューデリジェンス記録と照合する必要がある。情報に不一致や不足がある場合は、資金の保留や返還などのいくつかの措置を講じることが可能だ。また、他のVASP による繰り返しの失敗をFCAに報告し、必要な情報とそれに応じて講じた措置を提供する義務もあるとのことだ。