MUFG三菱UFJフィナンシャル・グループが円ペッグステーブルCoin発行へ
日本最大の銀行である三菱UFJフィナンシャル・グループ(※以下、MUFGと表記)は、ステーブルコイン発行プラットフォームであるプログマコイン(Progmat Coin)発行に向け、東京都港区に本拠を置く株式会社Datachain、ドバイに本社を構えるTOKI FZCO(※以下、TOKI)との業務提携を締結したことを発表した。
三菱UFJ信託銀行株式会社公式発表より画像引用
3社は、ステーブルコイン発行管理基盤プログマコインによってさまざまなパブリックブロックチェーン上で発行・流通予定のステーブルコインについて、パブリックブロックチェーン間のクロスチェーンインフラ構築のため、技術提携を開始。MUFG傘下の三菱UFJ信託銀行の発表は、当NEXTMONEYの2023年6月2日付特集記事「改正資金決済法が成立で日本のステーブルコイン解禁により銀行も動きを準備」でも報じているように、新規制を受けてのものだ。新規制のもとでは、ステーブルコインの発行者については、銀行や資金移動業者、信託会社に限定されている。
ステーブルコイン発行を容易にするMUFGのプログマコイン
MUFGは、プログマコインがイーサリアム(Ethereum)、ポリゴン(Polygon)、アバランチ(Avalanche)、コスモス(Cosmos)で銀行支援のステーブルコインを発行するためのバックボーンとして機能する。
将来的にはさらに多くのネットワークを組み込む計画があることを明らかにしたMUFGの同プラットフォームは、ステーブルコイン、その他の仮想通貨、日本を拠点とするCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)に対するユニバーサルデジタル資産支払い方法を提供することを目的としている。これらに加えて、潜在的なクロスブリッジ機能を備えたセキュリティトークンとユーティリティトークンのサポートを提供していく構えだ。
同銀行はTOKI、Datachainと提携し、サポートされているブロックチェーン間でのクロスチェーンスワップ、支払い、融資を可能にするクロスチェーンブリッジソリューションで協力している。このインフラストラクチャーは 2022年第2四半期に開始される予定で、ユーザーにステーブルコインエコシステム内での柔軟性と相互運用性の向上を提供するとのことだ。
他の銀行グループも別のステーブルコインの開発を計画
MUFGのプログマコインは、この進化する状況を活用し、ステーブルコイン発行のための安全で準拠したプラットフォームを提供することを目指している。
同銀行は、どの銀行が最初にプログマコインを利用するかは明らかにしていないものの、日本円にペッグされたステーブルコインを開発中であることを認めている。ただし、四国銀行、東京きらぼし、みんな銀行などの他銀行は、東京を拠点とするジーユー・テクノロジーズ(GU Technologies)が開発している別のステーブルコインプラットフォームを使用してステーブルコインを発行することを計画している。
MUFG のクロスチェーンインフラストラクチャーとステーブルコイン発行への進出は、仮想通貨業界の成長傾向を示しており、この動きは、実行可能な支払い方法としてのステーブルコインの可能性と、異なるブロックチェーン間の相互運用性の必要性を浮き彫りにしている。
TOKIとDatachainとの協力は、シームレスなクロスチェーントランザクションを可能にし、異なるブロックチェーン上でプログマコインを使用してNFT購入を決済するなど、革新的なユースケースへの道を開くことを目的としている。さらに、JPX、みずほ、SMBC、SBIなどの著名な証券取引所運営者の関与は、日本におけるデジタル資産とブロックチェーン技術への関心と支持の高まりを示唆している。
ステーブルコインの採用が勢いを増し、規制が進化するにつれ、銀行や金融機関にとって、デジタル通貨の可能性と従来の金融システムへの統合の可能性を探ることがますます重要になっている。MUFGのプログマコインプラットフォームは、この方向への重要なステップであり、ステーブルコイン発行のための安全で準拠したソリューションを提供し、デジタル資産エコシステムの成長を促進していくとのことだ。