ゴールドマン・サックス:ファミリーオフィスの26%が仮想通貨に投資

ファミリーオフィスのデジタル資産への投資がわずか32%

米国の金融系企業であるゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、最新レポートを発表し、現在デジタル資産に投資しているファミリーオフィス(※1)はわずか32%に過ぎないことが明らかになった。

Goldman Sachs「Primary Motivations for Investing in Digital Assets」より画像引用

(※1)ファミリーオフィス(Family office)とは…
資産が一定額以上の富裕層を対象に資産管理および運用サービスを提供する組織および企業の事

仮想通貨に特化して投資している割合はもう少し少ない26%に過ぎず、一部のファミリーオフィスは、投資としての仮想通貨にはあまり興味がないと判断しているとみられる。「Eyes on the Horizon:Family Office Investment Insights(日本語訳:地平線上の目:ファミリーオフィス投資の洞察)」と題された報告書では、さまざまな結果が示されているのが現状だ、仮想通貨の普及については、楽観的な見方と悲観的な見方の両方が存在しており、デジタル資産の導入を急ぐ人もいれば、懐疑的な見方を強める人もおり、レポートの中で次のように記述されている。

デジタル資産のエコシステムの中で、ファミリーオフィスは仮想通貨に対してより決定的な判断を下すようになった。投資している割合は、2021年の16%から26%に上昇した。しかし、投資しておらず、将来への関心もない割合は39%から62%に上昇しています。

同報告書は、さらに悲観的な統計を付け加えており、将来的に仮想通貨投資を検討するかもしれないと答えたファミリーオフィスは、全体のわずか12%で、2021年の45%から大幅に減少しているとのこと。というのも、ファミリーオフィスの意思決定者166名を対象に調査を実施。概要を明らかにしたところ、回答者のうち、米国は95人、欧州と中東は34人、アジア太平洋地域は37人であり、報告書では、デジタル資産に投資する人々の興味や動機が多様であることが明らかになった。

50歳以上の大半が仮想通貨への投資に自信がない

報告書によると、伝統的な資産クラスがアロケーターの間で依然として人気があることに疑いの余地はない。

ファミリーオフィスは、プライベートエクイティ、不動産、インフラ、ヘッジファンド、プライベートクレジットといった資産に投資の大部分を集中させていることがわかっており、これらの資産を合わせると、保有資産の44%を占めている。さらに、ファミリーオフィスの資産配分は比較的安定しており、調査によると、現金はポートフォリオの12%を占め、この数字は、他のグループよりも一般的に高く、35%のファミリーオフィスは、今後1年間、機会があればこの資金を投資する予定とのこと。

同報告書の結果は、より広範な懐疑論の縮図を示すものであり、デジタル通貨に対する関心は、世界中で一般的に変化している。グーグルトレンドによると、ビットコインは2021年以降、全般的に関心が低下していたが、2023年には状況が好転し、2023年に入ってから比較的安定しているとのこと。また、2022年以降、一般の人々は仮想通貨に対して警戒心を抱いており、ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が3月13日~19日にかけて行った調査によると、仮想通貨について聞いたことがあるほとんどの米国人は、その安全性と信頼性に自信を持っていないとのこと。特に、仮想通貨について少なくとも少しは聞いたことがある88%のうち、75%は、仮想通貨への投資、取引、利用のための現在の方法に自信がないと答えている。

この傾向は、若い年齢層の66%よりも、50歳以上の成人85%に多く見られており、仮想通貨について、非常に自信がある、あるいは非常に自信があるという大人はごく一部であった。