SWIFTがChainlinkのクロスチェーン相互運用性プロトコルを試験的に実行

SWIFTがクロスチェーン相互運用プロトコルへの取り組みを開始

国境を越えた決済を可能にする銀行間メッセージングシステムのSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication=国際銀行間金融通信協会)は、ブロックチェーンに価格フィードなどのデータを提供するチェーンリンクと、初期概念実証CCIP(Cross-Chain Interoperability Protocol=クロスチェーン相互運用プロトコル)に取り組んでいることが明らかになった。

Chainlink「SWIFT Is Using CCIP for Blockchain Interoperability PoC(日本語訳:SWIFT はブロックチェーンの相互運用性 PoC に CCIP を使用しています)」より動画引用

※動画は全編英語で放映されており、日本語訳が必要な場合は、画面右下に表示されている「字幕」アイコンをクリック。次に、右隣に表示されている「設定」アイコンをクリックし、表示されたメニューの中から、「字幕」⇒「自動翻訳」⇒「日本語」の順に設定することで、大まかな日本語訳が表示されます。

グローバルバンキングの最大手の1つであるSWIFTは、Chainlink(チェーンリンク)プロトコルを利用してSWIFTトランザクションをオンチェーンで試行する新しい概念実証のプロジェクトを共有。Chainlink社がニューヨークで2日間開催したWeb3イベントSmartCon 2022において、同社とSWIFT社の両代表が席につき、SWIFT社がSWIFT取引の初期概念実証としてCCIPに取り組んでいることを共同発表したとのこと。なおCCIPとは、SWIFTメッセージでオンチェーンのトークン転送を指示できるようにし、インターバンクネットワークがすべてのブロックチェーン環境にわたって通信できるようにすることを支援する予定とのこと。

SWIFTのCCIP構想は相互運用性を最前線に据えるための第一歩

SWIFTのCCIP構想は、既存の金融インフラとデジタルアセットインフラを融合させ、相互運用性を最前線に据えるための第一歩となり得るものだ。

CCIPは、適用可能なブロックチェーン間で標準化を図り、世界中のSWIFTに統合された銀行に、トークンを簡単に送金できる機能を提供することが期待されている。SWIFTの戦略ディレクターであるジョナサン・エーレンフェルド・ソレ(Jonathan Ehrenfeld Solé)氏は次のように語っている。

CCIPでチェーンリンクと協力したことが成功した理由の1つは、機関投資家から仮想通貨に対する否定できない関心があることです。伝統的金融プレーヤーは、さまざまな種類の資産クラスをつなげる1つのネットワークで、さまざまなデジタル資産と伝統的資産にアクセスしたいと考えていると感じています。


クロスチェーン統合はさまざまな課題が山積

クロスチェーン統合に関しては、さまざまな課題やハードルが残っており、ChainlinkとSWIFTが国際的なデジタル資産取引で前進できるかどうか、今後数カ月で確認することになる。

実際SWIFTは、世界の金融取引において重要な柱となっており、ベルギーに拠点を置くSWIFTは、世界中の銀行間の金融取引と決済の実行を担っている。また、国境を越えて行われる大規模な金融取引の実行は、SWIFTのインフラに大きく依存しているとされ、国際的なビジネスを展開する多くの資本市場や金融機関は、ほぼ毎日SWIFTのインフラを利用している。そのため、今回のChainlinkとSWIFTのクロスチェーン相互運用におけるパートナーシップは、TradFi機関にとって伝統的資産とデジタル資産の間のギャップを埋めるのに役立つだろう。