英国裁判所がNFTを財産として認識:投資家保護のために独自暫定的救済策を利用可能に

英・裁判所はBoss Beautiesハッキングを背景にNFTを財産と認定

英国高等裁判所は、NFT(非代替性トークン)が英国法の下で財産として扱われるという認識を初めて公にし、今後、仮想通貨詐欺被害者が利用できる強力な独自の救済策が、NFT詐欺被害者も利用可能になった事が分かった。

今回の決定に至る背景には、2021年9月に設立されたWomen in Blockchain Talksの創設者による、NFTアバターコレクション「Boss Beauties」に関連している。Boss Beautiesハッキング事件とは、公式Discordサーバーがハッキングされ、ハッカーがOpenSeaにてNFTを販売。「無料のエアドロップ」をエサに、2022年1月までに、同創設者の同意なしにハッカーによってウォレットから窃取されていた詐欺事件である。

英国裁判所による暫定的判断

英国裁判所は、Boss Beautiesハッキング事件被害者が求める各命令を許可し、代替手段によって管轄外の両方の被告にサービスを提供する許可を請求者に与えている。

この決定に達するにあたり、裁判所は重要な調査結果を出しており、NFTは、フィアット(法定)通貨を超え、請求者にとって特別で個人的かつ独自の価値を持つ。そのため、従来の現金に値するとしており、この理論的根拠は、NFTを実行可能な仮想通貨と区別し、将来のケースで盗まれたNFTに関し、英国の裁判所が差し止めによる救済を認める可能性が高まっている。

海外などの管轄区域で執行される英国の命令の無力または非現実性について、英国裁判所は結果が異なる可能性があるかどうかについて、現段階で明らかにしていない。今回の英国裁判所による判断は暫定的な判断であるものの、NFTが財産として認識されるための重要なステップであり、NFT詐欺被害者に、効果的な独自救済策が英国の裁判所を通じて利用可能であることは被害者にとって救いとなっている。英国外に拠点を置く仮想通貨取引所に対する開示命令などの強力な救済策の可用性を使用し、盗まれた資産を受け取った人に対する執行を容易にする。

仮想通貨市場では最近、詐欺が増え続けており、英国の裁判所で仮想通貨詐欺事件の大多数はこれまで不正流用された仮想通貨に関連していたが、NFT市場が成熟するにつれ、盗まれたNFTに関する事件の増加が見込まれている。そのため、英国の裁判所は、保護し続け、進化する仮想通貨市場に既存の法的原則を適用し、仮想通貨詐欺被害者に救済策を提供するために迅速に行動する意欲を示すことにより、仮想通貨投資家に働きかけている。