Crypto.comが報酬を20%削減
人気仮想通貨取引所の一つであるCrypto.comは、Visaカードで提供する報酬を大幅に削減し、ネイティブトークンであるクロノス(Cronos/CRO)を賭けるインセンティブも削減した事が分かった。
5月1日(日曜日)の最新ブログで同取引所は、Crypto.comVisaカードは、2018年11月に開始されており、世界40カ国で利用できる、世界で最も人気のある仮想通貨リンクカードプログラムに成長。長期的な持続可能性を確保するために、同取引所は、2022年6月1日00:00 UTC(※日本時間9:00)に発効するCROカード特典プログラムにいくつかの変更を導入すると発表した。主な変更内容として、一部の下位カードの支出報酬と、CROへの賭けに対する報酬の半分以上を効果的に削除を発表。同取引所は、今回の決定の理由として、「持続可能性の必要性」になぞらえ、「難しい決定」と述べている。この発表に対してCROは20%も急落しており、6カ月間の最低値である0.2928ドル(約38円)にまで下落。トークンは、過去24時間で最もパフォーマンスの低い仮想通貨の1つとなった。
Crypto.comが値下げを
今回の動きは、ソーシャルメディアで広く非難されており、ユーザーは、取引所のカードを使用したり、CROを賭けたりするインセンティブはほとんどないと述べている。
ユーザーはさらに、BinanceやCoinbaseなどの他の仮想通貨カードオペレーターへの移行についても推測しているとみられている。6月1日より、Crypto.comのMidnight Blue card tier(ミッドナイトブルーカードティア)はユーザーに対し、特典を提供しなくなる。加えてRuby Steel、Icy White、Obsidianなどの他のティア(※カードのランク)では、報酬が大幅に削減されている。また、同取引所は報酬の支出に上限を設け、可能な限り最高額の報酬を月額50ドル(約6,500円)に固定。しかし、これは今年の同取引所の金利やインセンティブの最初の引き下げではない。3月に同社は、持続可能性の必要性を理由に、警告なしにトークン預金の金利を2回引き下げた過去がある。
それでも、Crypto.comはプラットフォームとして着実に成長しており、同取引所には世界中で1,000万人を超えるユーザーがおり、最近FIFAワールドカップの公式スポンサーにも名乗りをあげた。
持続可能性は持続不可能へ向かうか
Crypto.comの動きは、高いインフレ率、弱い市場のパフォーマンス、米国の金利上昇といった原因により、仮想通貨貸付のより広範な問題を浮き彫りにした形となり、高いリターンおよびリワードを提供することはますます“持続不可能”になっている。
仮想通貨の採用率が増加するとアカウント所有者が増え、多額の支払いが不可能になる。この問題は、預金とユーザー数の増加により金利を大幅に引き下げる必要があった主要DeFi(分散型金融)貸付プラットフォームでよく見られている問題でもある。その結果、採用率が上がるにつれ、最終的には仮想通貨の貸付率が既存銀行との差が解消される可能性があると指摘されている。