検察がトルネードキャッシュ開発者に64カ月の懲役を求刑
オランダの裁判所は、トルネードキャッシュ(Tornado Cash)の開発者であるアレクセイ・ペルツェフ(Alexey Pertsev)容疑者の裁判を結審し、12億ドル(約1815.5億円)の資金洗浄の疑いで64カ月の懲役刑を求刑している事が分かった。
オランダの検察当局は、仮想通貨ミキシングサービスであるトルネードキャッシュの開発者、同氏に対して64カ月の懲役を正式に請求。世界中からかなりの注目を集めたこの裁判は、S-ヘルトーヘンボス裁判所で手続きを終了し、最終的な評決は5月14日に予定されている。同容疑者は、トルネードキャッシュを通じてマネーロンダリング(資金洗浄)を可能にし、12億ドルの仮想通貨を洗浄した疑いで告発されている。なお、起訴状は、これらの疑惑の行為が行われた2019年7月9日から2022年8月10日までの期間に焦点を当てている。
トルネードキャッシュ事件の背景
ペルツェフ容疑者に対する訴訟は、規制当局による仮想通貨プラットフォームのより深い監視の副産物にすぎない。
トルネードキャッシュは、北朝鮮に関連するサイバー犯罪組織であるLazarus Group(ラザルス)の資金洗浄に参加しているとして、米国財務省が同プラットフォームをブラックリストに登録したことを受けて注目を集めた。このブラックリストに登録された直後、同容疑者は 2022年8月に逮捕され、オープンソースソフトウェア開発者の法的義務の問題が仮想通貨コミュニティ内で議論されるホットな話題となった。オランダでの裁判は、同容疑者に対する特定の告発を扱うだけでなく、仮想通貨エコシステムにおける開発者にとっての潜在的な結果についても疑問を投げかけている。
起訴内容と法的手続き
ペルツェフに対する包括的な起訴状には多くの取引が列挙されており、これは組織的なマネーロンダリング活動への参加を示唆している。
特に、起訴状は、仮想通貨の世界で最大のスキャンダルの一つであるRonin Networkのエクスプロイトに関連した175,100 ETHを特徴とする取引に焦点を当てている。オランダ当局は、同容疑者は潜在的な共謀者らと協力し、これらの資金の不法な出所を知っていたはずだと主張。告発を踏まえ、同容疑者は罪を否認しているが、弁護側は今後の判決に向けて準備を整えている。この訴訟は、開発者コミュニティやプライバシー擁護団体を含むさまざまなグループにとって公共の関心事であり、テクノロジー、プライバシー、規制管理が複雑に交差していることが強調されている。