中国が厳しい規制の中で慎重にNFTへ接近

中国がNFT関連共同イニシアチブを打ち出す

中国インターネット金融協会(Internet Finance Association of China=中国互联网金融協会)、CBA(China Banking Association=中国銀行協会)、SAC(Securities Association of China=中国証券協会)は、NFT(非代替性トークン)に関連するリスクを管理することを目的に、共同イニシアチブを打ち出したことが明らかになった。

中国は、NFTを手放しで歓迎しているわけではないものの、NFTの全面禁止をすぐに追求する気はなく、イノベーションを促進するための施策を考慮しているとみられる。中国当局は、技術の革新的側面と可能性に言及する一方で、NFTのリスクにも警告を発しており、業界参加者が遵守すべき多くのイニシアチブを打ち出したとのこと。今回のイニシアチブでは、イノベーションを促進する必要性を強調し、イノベーションが経済に利益をもたらすよう、誠実に取り組むために、ブロックチェーン技術のアプリケーションを標準化するなどの指針が示されている。

NFT業界関係者が守るべき行動規範

中国当局は、マネーロンダリング(資金洗浄)防止や顧客把握対策などに関して、NFT業界関係者が守るべき行動規範を6つ挙げている。

具体的な内容としては、NFTトークン資産の金融化・証券化の進展に歯止めをかけることや、貴金属や有価証券などの基礎資産はNFTの一部には含まれず、NFTの集中取引(マーケットメーカー)の禁止、NFTでの資金調達の禁止などが挙げられている。さらに、ビットコイン(Bitcoin/BTC)、イーサリアム(Ethereum/ETH)、テザー(Tether/USDT)などの仮想通貨を、NFT取引の価格設定や決済に使用してはならず、プラットフォームでは実名認証を行う必要があるとのこと。そのため、各機関は共同で消費者に対し、ハイリスクの投機を抑え、自らのデジタル資産を適切に保護するなど、個人のリスク管理を実践するよう呼びかけており、各協会は声明で、次のように述べている。

我々は、消費者が正しい消費概念を確立し、自己防衛の意識を高め、意識的にNFT関連の違法金融活動から離れ、自身の財産安全を効果的に守るよう厳重に呼びかけるつもりです。関連する違法行為を発見した場合は、関連部門に適時に報告する必要があります。

最近では、時価総額2,720億ドル(約343億円)を誇る中国の多国籍電子商取引企業アリババ・グループ(Alibaba Group Holding Limited)は、NEXTMONEYの特集記事「中国の大手電子商取引アリババがNFTマーケットプレイスを立ち上げ」で報じているように、2021年8月にNFTマーケットプレイスを立ち上げ、ユーザーが著作権のライセンスを表すトークンを販売できるようにしたと報じられるなど中国ではNFTが盛り上がりを見せている。

一方で、中国での仮想通貨に関しては厳しい対応が取られており、2017年に仮想通貨取引所のサービス提供を正式に禁止したことで、「WeChatがNFTアカウントを大量ブロック開始」で報じたように、WeChatを含む中国の一部のソーシャルメディアサイトは、2022年にNFTプラットフォームを削除している。実際、中国人民銀行が2021年にこの活動の取り締まりを開始するまでは、多くの個人が仮想通貨関連の取引に現地の銀行口座を使用していたとのこと。

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