TONの「ゴールデンビザ」発言にUAE当局が反論
TON(オープンネットワーク)が仮想通貨保有者向けにゴールデンビザを提供すると発表したが、UAE当局はこれを否定し、制度として存在しないと発表した。
声明には主要3機関が名を連ねており、仮想通貨保有だけを根拠とする申請は認められないと明確にされた。
TON(The Open Network)は、仮想通貨保有者に対し「3年間で10万ドル(約1,460万円)相当のTONをステーキングし、3万5,000ドル(約500万円)の手数料を支払えばゴールデンビザが得られる」と発表していたが、UAE当局はこの制度の存在を明確に否定。また、バイナンス(Binance)創業者のCZことジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏は「話が良すぎる」として慎重な見解を示し、政府からの公式な裏付けの欠如を問題視。TON側は直接の反論を避けつつ、UAEとの連携の可能性に言及している。
TONによるビザ提供の発表後、トンコインの価格は一時的に3.05ドルまで急騰し、日曜には最大10%近く上昇した。しかしその後、UAE当局が制度の存在を否定する声明を出したことで市場は反応し、価格は2.84ドルまで下落。直近の24時間高値からは6%の下落となり、取引量は過去最高の6億4,340万ドル(約940億円)に達した。
UAEにおけるゴールデンビザ制度の仕組み
UAE当局は、仮想資産関連サービスを利用する際は認可を受けた企業と取引するよう強く促しており、TONがこうした認可を受けていないことを明示していることに加えて、TONに対して一切の関与も支援も行っていないと強調した。
国民と投資家に対しては、ビザに関する正確な情報は政府公式サイトなど信頼できる情報源から得るよう呼びかけ、不確かな広告や申し出には注意を促している。
ゴールデンビザはUAE政府が2019年に導入した長期居住ビザ制度。国家スポンサーなしで居住・就労・就学が可能となり、5年または10年の有効期間が設定されている。対象となるのは、医師や科学者などの専門人材、200万UAEディルハム(約8,000万円54万ドル)以上の投資家、またはUAE当局に認定された技術系スタートアップの起業家など。人道支援や文化、学術分野で顕著な実績を持つ者も対象になる。申請者は、専門スキルの証明や認定機関からの推薦など、厳格な審査を通過する必要がある。仮想通貨の保有やデジタル資産の投資だけでは、その条件を満たすことはできない。
この制度は、優秀な人材や持続可能な投資を誘致するUAEの国家戦略の一環として位置づけられており、信頼性の高い申請制度の維持が重視されている。