イングランド銀行総裁「中銀デジタル通貨は、慎重に設計する必要がある」
イングランド銀行の総裁であるマーク・カーニー氏は、イングランド銀行が既存の紙幣と同等のデジタルを作成する場合、金融安定の危険を回避するために慎重に設計しなければならないと述べた。イギリスでは、特に現金の使用量が減少しており、買い物客や企業は、BoEが発行した紙幣ではなく、銀行や決済会社が保有する電子マネーに依存しているという現状がある。
またイギリスではビットコインなどの仮想通貨は支払い手段として定着しなかったが、CBDCが発行されれば現金と同様に、個人と企業の間の支払いに銀行を使用する代わりになり、国境を越えた支払いを容易にすることが可能になる。しかし、カーニー氏は中央銀行が発行する通貨について「CBDC(中央銀行のデジタル通貨)には多くの機会がありますが、金融の安定性を維持するために大きな課題が生じる可能性があります。そのため導入する場合は非常に慎重に設計する必要があります」と見解を述べている。
また、カーニー氏はCBDCのリスクについても言及しており「リスクの面では、消費者が預金をCBDCに移動すると、市中銀行に問題が生じる可能性があります。それは市中銀行が融資を進める能力に影響を与えると考えられます。そして最終的に、CBDCは金融の安定性と中央銀行の金融政策をコントロールする能力に影響を与える可能性があります」と述べている。
さらに、デジタル通貨の発行については中央銀行のみならず、Facebookのリブラ計画のようなものもあり、政府と中央銀行はデジタル通貨を発行する努力を加速するために協力し続ける必要があると、ポジティブマネーの政策責任者デビッドクラークは述べている。中央銀行のデジタル通貨が発行されることによって、商業銀行を弱体化させるなどの懸念もあり、できるだけリスクを軽減させるための慎重な調整が必要不可欠になってくるだろう。