DOJがロシアのダークウェブサイトHydraを閉鎖
DOJ(Department of Justice=米国司法省)は、世界最大級のダークネットマーケットプレイスであるHydra Marketを閉鎖したことが明らかになった。
OFAC(Office of Foreign Assets Control=米国財務省外国資産管理局)によると、ロシア語のサイトであるHydraは、ドイツ当局と連携したDOJの調査により、4月5日(火曜日)に閉鎖された。DOJとドイツ連邦警察は、Hydraのサーバーと2,500万ドル(約30億円)相当のビットコイン(Bitcoin/BTC)が入った仮想通貨ウォレットを押収したとのこと。
ダークウェブサイトHydra概要
Hydraは2015年から運営されており、セキュリティ企業のFlashpointとブロックチェーン分析企業Chainalysisの2021年のレポートによると、2020年には年間収益が13億7000万ドル(約1,696億円)を超えており、同サイトには1,700万人の顧客と19,000以上の売り手アカウントが登録されていたという。
主にロシアのユーザーが違法薬物や盗まれた金融情報、不正な身分証明書、マネーロンダリング(資金洗浄)やミキシングサービスなどの違法な商品やサービスを売買するオンライン犯罪マーケットプレイスとして知られていた。法廷文書によるとHydraは、ユーザーが違法な麻薬、盗まれた金融情報、不正な身分証明書およびマネーロンダリングなどのサービスを、すべて匿名で売買できるようにしていたとのことだ。
デジタルインフラを解体
DOJは、Hydraのサーバーを停止させるとともに、ロシア在住のドミトリー・オレゴビッチ・パブロフ(Dmitry Olegovich Pavlov)氏に対し、Hydraの運営に使われていたサーバーの運営・管理に関連して、麻薬の流通とマネーロンダリングの罪で刑事告発したとのこと。
実際、2021年にHydraはダークネット市場関連の仮想通貨取引全体の80%を占めており、2015年以降、同市場は約52億ドル(約6,436億円)の仮想通貨を受け取っているとみられている。FBI(Federal Bureau of Investigation=米国連邦捜査局)のクリストファー・レイ(Christopher Wray)長官は次のように語っている。
世界最大のダークネット市場であるHydraの押収に成功したことで、ロシアのサイバー犯罪者や彼らを支援する仮想通貨タンブラー、マネーロンダラーなど、さまざまな犯罪者、そして麻薬密売人に魅力的なデジタルインフラを解体することに成功しました。
なお、現在Hydraではこれまで利用可能だったページやリソースにアクセスできなくなっており、代わりにサイトが閉鎖されたことを意味する、FBIや麻薬取締局など複数の法執行機関の印が押されたグラフィックが表示されている。