テザー社が疑わしい資産を保有化
ステーブルコインのテザー(Tether/USDT)発行者が疑わしい資産を保有している可能性があると大手メディアが報じている。
経済専門大手メディアであるブルームバーグの最新調査によるとテザー社は、数十億ドル相当の中国のコマーシャルペーパー(※1)を保有していることが判明した。
企業が短期で資金調達する事を目的に、株式公開市場において割引形式で発行する無担保の約束手形のことを指す。
ブルームバーグ捜査が新たな懸念を提起
ブルームバーグは、ステーブルコイン発行者であるテザー社が中国の大手企業が発行した数十億ドル相当のコマーシャルペーパーを所有しており、これらの資産を使用してステーブルコインの準備金をバックアップしている可能性があると報告した。
ブルームバーグビジネスウィークが受け取った報告書によると、テザーは中国の大手企業に数十億ドルの融資をしているという。同報告書はUSDTを裏付ける資産の質を調査し、そのドル準備を支える債務資産は疑わしい性質の可能性があると主張。本来USDTは、1:1の比率で米ドルに固定されるように設計されており、安定したアカウント単位を提供することで、従来の銀行サービスに依存することなく暗号資産(仮想通貨)を取引できる。USDTは取引量でステーブルコイン市場をリードし、Binance、FTXなどを含むいくつかの大規模な仮想通貨取引所で取引するためのトップベースペア通貨として機能している。
同報告書は、ステーブルコイン会社が、米国アラバマ州、テキサス州、ニュージャージー州から証券法違反で最近告発された集中型仮想通貨レンディング(貸付)プラットフォームであるCelsius(セルシウス)に対しても10億ドル(約1,120億ドル)の融資を提供したことを明らかにした。
テザーの以前の公的証明には、USDTステーブルコインを裏付けるための準備金として保管されているさまざまな短期預金とコマーシャルペーパーが含まれている。これは実際、テザーの保有する300億ドル(約3兆3,570億円)がコマーシャルペーパーに投資されており、この債務資産クラスの最大の保有者の1つとなって一部のトップ金融会社よりも優位に立っている。
中国最大の不動産開発業者は、コマーシャルペーパーの世界最大発行者で、同社は2020年に3.6兆元(約62兆4,600億円)相当のコマーシャルペーパーを発行していたことが分かっている。なお、これは2019年から比較して20%増加している。
USDTの真の価値についての懸念が浮上したのはこれが初めてではなく、テザー社は、USDTが時価総額690億ドル(約7兆7,216億円)の全額がドル準備金に支えられていないと何度も非難されてきた。しかし、テザーはその主張を否定し、ステーブルコインの供給を裏付ける準備金の全額を維持していると述べている。また、中国で2番目に大きな不動産開発業者であるエエバーグランデ(恒大集団)が発行したコマーシャルペーパーも所有しているとみられる。これにもテザー社は、債務保有を否定しており、A-2およびそれ以上の格付けの企業が発行したコマーシャルペーパーのみを保有すると主張し、同社はリスクのない資産であると主張しているものの、債務者の正確な詳細を明らかにしていない。