VisaとMastercardはBinanceとの関係を継続
大手カード決済サービスプロバイダーのVisaとMastercardは、仮想通貨取引所が規制当局の監視の高まりに直面しているにもかかわらず、引き続きBinanceとのパートナーシップ関係を継続させている。
両社はBinanceに関する規制上の懸念を認めているものの、状況を鋭敏に監視していると、VisaとMastercardの両方が海外メディアのFinancial Timesに語っている。
Visaによると、この件についてBinanceと現在も対話を進めている真っ最中であり、Mastercardは、取引所が規制状況に対してどのように反応するかについて注視していると述べている。両社は、ユーザーがカードを使用してBinanceアカウントに資金を提供することを現段階では一時的にも停止させてはいない。
世界各国による規制上の懸念については、特にBinanceに対して現在スポットライトが当たっており、すでに複数の銀行や小規模決済企業などが同取引所とのパートナーシップを停止させている。当NEXTMONEYでも「英国のバークレイズ銀行がBinanceへのカード支払いをブロック」や「バークレイズに続き、サンタンデールが英国のアカウント所有者のBinanceへの支払いをブロック」などで報じているようにへの支払をブロックしている。
VisaとMastercardがBinanceとの関係を続ける意味とは
VisaとMastercardが現在でもパートナーシップをブロックすることなく関係を続けていることは、2社の決済会社の規模を考えると、Binanceにはまだ多くの顧客がいることを意味する。
Binanceは、Visaブランドのデビットカードも顧客に提供しており、ユーザーは、カードを介し(サードパーティ経由)てデジタル資産を一般的な通貨に交換することで、仮想通貨ウォレットからアカウントに資金を供給できる。
Binanceとのパートナーシップに関する不確実性の中で、VisaとMastercardは最近仮想通貨セクターへの関心を高めている。たとえば、オーストラリアでは、VisaはCryptoSpendが仮想通貨の支払いを容易にするためのデビットカードを発行することを認定している。
Binance規制上の懸念
Binanceに商店が当てられるようになったのは、英国の規制当局であるFCA(Financial Conduct Authority=金融行動監視機構)が、同社は仮想通貨ビジネスとして国内で事業を行うことを承認していないと消費者警告にて判断された後から始まっている。
Binanceに対する批判には、マネーロンダリング(資金洗浄)の支援やテロ組織等への資金提供、プラットフォームでの詐欺の支援などがあげられている。さらに、米国の規制当局であるFTC(Federal Trade Commission=連邦取引委員会)は、2020年6月以降、Binanceに対して760件に上る苦情を受けている事を明らかにし、その一部が公表されている。FTCに寄せられた苦情の多くが、取引所からお金を引き出せないことや疑わしい活動が含まれているとのこと。
Decrypt Media「Binance CEO Changpeng “CZ” Zhao at Ethereal 2021」より動画引用
最近、Binanceのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:趙長鵬)CEO(最高経営責任者)は、同社が規制要件を順守していると述べている。ジャオ氏によると、Binanceは急速な成長を遂げたが、途中でいくつかの失敗もあったと語っている。
バイナンスはコンプライアンスチームの倍増で対応
ジャオCEOはブログの中で、Binanceが2021年末までにコンプライアンスチームの倍増に向けて取り組んでいることを発表している。
同CEOは、Binanceの国際コンプライアンスチームと諮問委員会が昨年から500%成長したことを明らかにし、次のように語っている。
年末までにチームの規模を2倍にし、資格のある経験豊富なアドバイザーがサポートする予定です。Binanceは非常に急速に成長しており、すべてが正確に正しいとは限りませんが、日々学習と改善を行っています。
ジャオCEOは、Binanceなどの企業の基準を明確にすることは、仮想通貨業界の継続的な成長に不可欠であると述べている。