カタール中央銀行がCBDCプロジェクトの詳細を発表

カタール中央銀行がホールセールCBDCプロジェクトの詳細を発表

QCB(Qatar Central Bank:カタール中央銀行)は、ホールセールCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)プロジェクトの詳細を公式サイト上にて公開し、2024年末までに稼働予定である事が明らかとなった。

同CBDCは金融デジタル証券の所有権を効率的に決済するために利用される可能性があり、同プロジェクトでは、実際のカタールリヤルは使用されず、基礎的な流動性予測モデルにはAI(人工知能)が使用されるという。QCBが2024年6月にCBDCのインフラを完成させ、現地銀行との大規模な支払い決済のテスト開始発表時、詳細については提供されておらず、今回、ようやく同銀行によってデジタル通貨プロジェクトについて詳細が発表された。

このプロジェクトは、ホールセールCBDCプロジェクトだが、将来的には小売にまで拡大する可能性があり、QCBは、CBDCが金融デジタル証券の所有権の効率的な決済に利用できる可能性があると主張したうえで、公式サイト上に次のように記載されている

この実装により、新しい形態のFMI(Financial Market Infrastructure:金融市場インフラ)が展開され、効率が向上し、金融市場の仲介が削減される可能性があります。

このプログラムではDLT(分散型台帳技術)を利用し、デジタル国債の発行が検討される。デジタル国債は既存債券のデジタルコピーであり、既存金融証券インフラと新しいデジタル形式の間で互換性を提供していくとのことだ。

QCBがCBDCプロジェクトのために現地銀行を選出へ

QCBは、選出された銀行が同プロジェクトに参加でき、銀行によって管理されると主張している。

同銀行によると、参加銀行は、RTGS決済口座の従来のQARをwCBDCに変換することでCBDCを取得でき、wCBDCはQAR建てのため、変換は1:1ベースで行われ、銀行のバランスシートおよびQCBのバランスシートには影響しないという。第1段階でQCBは、初期実験を実施。参加銀行とともに評価したうえで、さらなるステップを決定するという。これによって同銀行は、システムを統制し、カタールの法律や規制に準拠できるようになると述べている。

シミュレーションであり、実際のお金で実施されない

第1段階はシミュレーションのみであり、実際のお金で実施されることはく、実際のお金を使用して展開される場合、金融政策に対して中立になるように設計されてるという。

QCBは、商業銀行は銀行間支払いとDvP取引(※1)で24時間年中無休かつ即座にCBDCの恩恵を受けられると述べている。また、商業銀行は、鋳造されたCBDCを配布し、プログラム可能性に基づく新しいサービスを提供することもかのうとのことだ。さらに商業銀行は、法定通貨預金に裏付けられたトークン化された預金を発行し、それを銀行自身と顧客の決済および財務業務に使用することもできるという。

(※1)DvP(Delivery Versus Payment)取引とは…
Delivery:証券の引渡し+Payment:代金の支払いを相互に条件付け、一方が行われない限り他方も行われないようにすること。

第1段階では、商業銀行は2つのユースケースを検討でき、CBDCでの支払いと送金、総額ベースでの即時24時間365日の二国間決済、CBDCで決済されるデジタル証券の購入が対象となっている。さらに、商業銀行はCBDCを使用して金融市場証券の即時かつ24時間365日の決済にアクセスできるとのことだ。

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