DOJは北朝鮮のハッカー3人を起訴
DOJ(米国司法省)は、金融機関から13億ドル、約1,373億円以上の仮想通貨を盗んだ、北朝鮮のサイバーテロ組織ラザルス(Lazarus)が管理するプロハッキング集団に所属する、3人のコンピュータープログラマーを起訴したことを明らかにした。
起訴された3人は、米司法省やFBI(連邦捜査局)などを筆頭とする規制機関などから、2014年に社会問題に発展したソニーのハッキング事件や、仮想通貨関連の不正流出、またマネーロンダリングなどに関与した疑いが指摘されている。司法省は昨年8月、約2,870万ドル、約30億円相当の仮想通貨のマネーロンダリング(資金洗浄)に関連した280の仮想通貨アカウントを追跡したところ、ラザルスグループにたどり着いたとのこと。起訴書類などによると、3名はランサムウェアの攻撃、フィッシング詐欺やデジタル銀行強盗や資金洗浄など多岐にわたるサイバー犯罪を行っており、経済制裁の影響を受け、国家財政が苦しい状況下で外貨取得の手段としてサイバー攻撃を実行したとみられている。
また、連邦検察官は、被告人が数百の仮想通貨関連会社を標的とし、数千万ドル相当の仮想通貨を盗んだと主張。米国大手メディアのBBC Newsが報じた内容によると、2017年12月のスロベニアの仮想通貨取扱業者からの7,500万ドル、約80億円、2018年9月のインドネシアの企業から2,490万ドル、約26億円、2020年8月のニューヨークの金融サービス会社からの1,180万ドル、約12億円などが含まれている。
DOJ国家安全保障部門のジョン・C・ディマス(John C. Demers)司法次官補は次のようにコメントした。
北朝鮮は旗を掲げた犯罪組織になっており、世界を代表する銀行強盗とも言える北朝鮮のスパイらは、銃ではなくキーボードを駆使してデジタル・ウォレットから仮想通貨を盗んだ。
今回の訴訟により、北朝鮮のハッカーら3名が有罪判決を受けた場合、5年から30年の懲役刑に直面する可能性がある。実際、DOJは、北朝鮮のマネーロンダリング関連事件で、カナダのオンタリオ州出身のガレブ・アラウマリー(Ghaleb Alaumary)を起訴し、最大20年の懲役刑で有罪判決が確定している。以前から北朝鮮は仮想通貨関連のハッキングによって得た資金を、核開発などの軍事費に当てているとの噂があり、今回のハッキンググループも大きく関係していると考えられる。
NEXTMONEYの特集記事「国連専門家、北朝鮮に2億8100万米ドルのサイバー盗難を指摘|ロイター:KuCoinが被害者の可能性を指摘」や、「北朝鮮のサイバー攻撃、仮想通貨で3億ドル奪取=国連パネル」、「米規制当局、北朝鮮に関連付けられた280の仮想通貨アカウントを追跡」などでも報じているように、米国当局は北朝鮮への経済制裁を継続する一方で、サイバーテロ犯罪などに厳しい追跡を行っている。