2020年のトップ仮想通貨詐欺スキームはDeFiラグプル
ブロックチェーン分析企業のCipherTrace(サイファートレース)が、2020年版仮想通貨と犯罪に関する最新データを発表した。
ブロックチェーン分析を手掛けるCipherTraceの最新データによると、DeFiの「ラグプル(rug pull)」(※1)と出口詐欺は2020年の後半にすべての仮想雨うか詐欺スキームの99%を占めたことが分かった。今回発表された最新データは、2020年の犯罪活動における仮想通貨の役割を調査する同社の年末報告の一部だ。
CipherTraceより画像引用
最新データによると、犯罪者は2020年に19億ドル、約2,000億円を「相殺」しており、2019年の45億ドル、約4,700億円から大幅に減少しているが、2018年の17億ドル、約1,770億円からは増加していることが分かる。
(※1)ラグプルとは、違法な犯罪組織や悪意ある攻撃者が、DeFiプロトコルから性質を利用して流動性を排出させ、投資家が取引できなくなるように仕掛ける一種の出口詐欺をいう。
暗号にリンクされた犯罪活動の大部分が、詐欺と不正流用の一般的な犯罪に該当する。同社によると、2番目に人気の高かった犯罪カテゴリーはハッキングと盗難とのことだ。
DeFiに資金が集まるにつれて犯罪が増加
NEXTMONEYの特集記事「1,000億円の詐欺被害WoToken、運営者に9年の懲役を宣告」でも報じているが、WoTokenと呼ばれるコインを取り巻く大規模な詐欺計画が、昨年の被害額のうち11億ドルを占めている。レポートによると、WoToken が2020年の最大の仮想通貨犯罪で、次いで「テザー&ビットフィネックス、KuCoinハッキングで数百万のUSDTを凍結」で報じたKuCoinハッキングが仮想通貨犯罪の2位だった事が分かった。
CipherTraceは、DeFiが盗難に対して特に脆弱だったと指摘している。そして、ラグプルが犯罪の中で最高の地位を占めており、CipherTraceは次のように述べている。
2020年の仮想通貨ハッキングの半分はDeFiプロトコルで、これまでのすべての年で事実上無視できるパターンでした。2020年後半の主要な詐欺の99%近くは、2017年のICOブームを不気味に思い起こさせるパターンでDeFiプロトコルがラグプルやその他の出口詐欺を実行したことに起因していました。
DeFiに閉じ込められた金額が増えるにつれてリスクもあるとして、CipherTraceのデイブ・ジェバンズ(Dave Jevans)氏は次のように語っている。
誇大広告サイクルを利用するためにプロトコルが迅速に起動すると、詳細なセキュリティ監査で発見されたであろうコードの抜け穴やバグの犠牲になる可能性のあるユーザーを危険にさらします。DeFiへの数十億ドルの流入により、2021年にはDeFi関連のハッキング、詐欺、さまざまな出口詐欺が増えると予想されます。