ベネズエラの仮想通貨取引所、インターネット環境なしでBTC送金が可能に
南米ベネズエラに拠点を置く仮想通貨取引所「クリプトラゴ」が、ベネズエラの独自仮想通貨ペドロやビットコイン(BTC)の送金をインターネット環境に接続されていなくても可能にするシステムを立ち上げたことを発表した。同システムは、テキストメッセージ(SMS)を利用することで決済を可能にする仕組みで、インターネットを持たない貧困層を中心に利用が見込まれる。
同取引所は、同国の大統領であるニコラス・マドゥロ大統領の指示に従って開発したと説明。マドゥロ大統領はベネズエラの独自デジタル通貨ペトロ(Petro)を利用したオフラインでの決済システムを導入する必要性を訴えていたためだ。クリプトラゴは、システム開発の意義を以下のように説明している。
「ニコラス・マドゥロ大統領のガイドラインに従い、仮想通貨をSMSで支払うことができる新しい機能を開発しました。私たちは、ベネズエラに住む全ての人々が、実用的な方法でペドロを取引できる可能性を開きました」
同システムは、ペトロやビットコインだけでなく、クリプトラゴに上場している全ての仮想通貨に対応。サポートしている他の仮想通貨を抜粋すると、ライトコインとダッシュ、同国の仮想通貨投資銀行が命名、発行した独自トークンGlufcoがある。法定通貨ボリビアの使用も可能だ。
テキストメッセージで仮想通貨を送金できるサービスとしては、XRPを送金することができる「XRP text」があったが、同サービスは本人確認やマネロン規制などを考慮した上で2020年1月にサービスを停止。クリプトラゴのサービス開始時期は不明だが、運用が開始されれば、同取引所のサービスがSMSで仮想通貨を送付できる唯一のサービスとなりそうだ。
国内で猛威を奮っているハイパーインフレを背景に、ボリビア建てのビットコイン取引量が2020年2月上旬に過去最高を更新するなど、仮想通貨に対する高い需要が恒常的にあるべネズエラ。政府主導の物価コントロールによりインフレ率は鈍化の傾向にあるが、米国による経済的圧力が続いており、制裁回避を目的としたビットコインへの利用依存が続くとみられる。