台湾HTC、スマートフォンに仮想通貨モネロのマイニング機能搭載
大手携帯電話メーカーとして知られる台湾拠点のHTCが、仮想通貨マイニングの領域に参入する。ブロックチェーン技術を搭載した同社のスマートフォンEXODUSに、仮想通貨モネロ(XMR)のマイニング機能を搭載し、実現させる。フォーブスなどが10日に報じた。
HTCは高性能ASICチップを設計するMidas Labs社と提携。Midas Labs社は現在、「DeMiner」と呼ばれるアプリを開発しており、EXODUSに2020年第2四半期(4〜6月)からダウンロードを可能にする。このアプリをダウンロードすることによって、自動的にマイニングが行えるようになる仕組みだ。
DeMinerは、マイニングをする際の1秒当たりの計算量を示すハッシュレート機能が通常のノートパソコンに匹敵すると報告されているが、消費する電力は遥かに少ないという。例えば、平均的なノートパソコンが、1日65キロワットの電力で0.06ドル(約65円)相当のモネロをマイニングできるのに対し、EXODUSとDeMInerを用いてマイニングをする場合は、電気代をノートパソコンの50%以下に抑えながら、1日平均で0.0038ドル(約0.4円)相当のモネロをマイニングできるという。
さらに、DeMinerは、電力使用量の抑制でも利点がある。携帯電話が使用されているかどうか、または充電器に接続されているかどうかを判断し、マイニングを自動的に非アクティブにするよう設計。マイニングによってスマートフォンのバッテリーが無くなるといった問題をできるようになっている。HTCの責任者は、仮想通貨マイニング領域の参入の意義を次のように語っている。
「仮想通貨のマイニング業界は、大手マイニングプールに独占される脅威がある。この問題を解決する最も効率的な方法は、より多くの人がマイニングできるようにすることだ。(大手マイニングプールの独占を防ぐには)モバイル端末で気軽にマイニングできることも重要。DeMinerは、低コストでマイニングができるため、個人マイナーでも参加できる。これはネットワークの非中央集権の向上にも役立つだろう」
XMRは人気の高い匿名通貨であり、時価総額ランキングは10位台前半で推移する。一方でマネーロンダリング(資金洗浄)などへの悪用が問題視され、日本では取り扱いが中止となっているが、XMR自体は需要が高い通貨のため、DeMinerは世界的な注目を集めている。