PayPalが規制当局の精査の中でステーブルコインプロジェクト中止を発表

PayPalがステーブルコインプロジェクトの中止を発表

米国の規制機関が仮想通貨セクターの監視を強化するなか、PayPal Holdingsは次期ステーブルコインの開発を中止したことが明らかになった。

ブルームバーグ・ニュースの報道によると、PayPal Holdingsは、規制当局が仮想通貨に対する監視を強化し、プロジェクトの主要パートナーがNYDFS(New York Department of Financial Services:ニューヨーク州金融サービス局)の調査に直面しているため、ステーブルコインの開発を一時停止したとのことだ。

PayPalの苦境に拍車をかけているのは、NYDFSによるパクソス(Paxos)の調査であり、PayPalはステーブルコインの発行者であるPaxos Trust Companyと共同で、独自ステーブルコインを開発していた。PayPalは今後数週間でステーブルコインをデビューさせる予定だったが、今年初めから仮想通貨関連企業の規制監視が強化された事を受け、発売が延期されている。

ステーブルコイン発行者は当局との緊密な連携が必要

NYDFSは、2022年に多くの主要な業界プレーヤーが失敗した後、仮想通貨セクターの取り締まりを強化しており、最近の精査は、仮想通貨取引所Kraken(クラーケン)を含むステーキングプログラムの件でSECによるものである。

NEXTMONEYの特集記事「クラーケン(Kraken)は3,000万ドルの罰金を支払い、米国での仮想通貨ステーキングを閉鎖」で報じたように、KrakenはSECとの和解の一環として、SECに3,000万ドル(約39.5億円)の罰金を支払い、ビジネスを停止することに同意。PayPalは、ステーブルコインプロジェクトを継続する場合、規制当局と緊密に連携し、米国当局が定めるあらゆる規制を完全に遵守し開ければならず、PayPalの広報担当者であるアマンダ・ミラー()氏は次のように語っている。

私たちはステーブルコインを模索しています。前進しようとする場合、そしてその時は、もちろん、関連する規制当局と緊密に連携します。

実際、PayPal自体も、規制当局の監視の目にさらされており、同社は、Venmoの支払いを誤ったユーザーに送ってしまった顧客の扱いをめぐって、CFPB(消費者金融保護局)による調査の対象になっている。

仮想通貨市場は、FTXを含む複数企業の破綻により、金融の世界で次の大きな出来事と考えられていたものへの投資家の信頼が揺らぎ、激動の時代を迎えている。一連の倒産は、仮想通貨業界で活動する企業に対する世界的な規制を引き起こしているだけでなく、マクロ経済の弱さは、個人消費、特に裁量労働制の支出として、PayPalの中核事業の成長を圧迫し始めている。

クラーケン(Kraken)は3,000万ドルの罰金を支払い、米国での仮想通貨ステーキングを閉鎖

2023.02.13