選挙問題の解決策「ブロックチェーン投票」を全面否定=MITレポート
MIT(マサチューセッツ工科大学)の最新レポートによると、ブロックチェーンベースの電子投票のアイデアに強く反対している。
最近、選挙での公平性や投票の迅速化などのためにブロックチェーンを採用するというアイデアが注目されているが、MITは公式レポートでは、ブロックチェーンを活用したアイデアに反対している。この主な理由として、既存のサイバーセキュリティの脆弱性を増加させ、政治選挙での投票の固有のニーズを満たせず、多くの問題を発生させると指摘している。
レポートの作成者であるMITコンピューター科学人工知能研究所(CSAIL)の教授であり、RSA暗号化の作成者の1人であるRonRivest氏は以下のように述べている。
私はまだ、国民全員が利用できるほどのブロックチェーンシステムはないと考えています。ましてや大統領選挙で利用するほどに信頼できるブロックチェーンシステムを見たことがないです。
レポートによると、MITは投票プロセスをより速く、より効率的にしたいという人々の願望は認識しているが、オンラインでの買い物や銀行システムと同じように、ブロックチェーンを選挙に利用すべきでないとの立場を示している。
その理由の一つとして、システムの障害に対する許容度が高いことを理由として挙げており、クレジットカードであればカードをブロックすると、銀行から払い戻しを受けることができるが、選挙については有効な策がないと指摘。さらに、ブロックチェーンの匿名性にも問題点があると指摘し、投票方法を自分のアイデンティティから切り離すことは選挙プロセスの重要な部分であることからすべきでないとの意見を示した。
電子投票システムの脆弱性と郵便投票との比較
電子投票システムの脆弱性については、ワシントンDCなどの都市やエストニアやスイスなどで過去に重大な障害が起きていることから、大きな不正につながりかねないと危惧している。これと比較して、「郵送投票」のような方法については、投票用紙に物理的にアクセスする必要があるため、大規模な不正が起きにくいという点では優れていると述べている。
ブロックチェーン投票の案の中にはコインでの投票モデルもあり、投票機関によって作成された公開鍵と秘密鍵のペアを国民一人一人が持ち、国民は公開鍵を投票登録簿に送信することで投票が完了する仕組みとなっっている。
しかしMITのレポートは、結論としてブロックチェーンやオンライン投票は基本的なセキュリティの懸念に対処していないと述べ、現在の対面および郵送による投票システムに存在するよりも多くの脆弱性をもたらすと結論づけている。