イタリアの約100の銀行が、ブロックチェーンネットワーク「Spunta」に正式参加
イタリア銀行協会(ABI)の発表によると、約100のイタリアの銀行がR3のCorda上に構築された銀行ブロックチェーンネットワーク「Spunta」に参加していることが分かった。
ブロックチェーンネットワーク「Spunta」は、ABI Labsによって作成されたプロジェクトであり、2018年に18行の銀行で試験的に導入され、銀行間データ転送と決済速度を改善することを目的として設立された。また発表によると、イタリアの銀行のSpuntaへの参加は今年になって急激に増加しており、3月には32行の銀行、5月にはさらに23行、10月には42行の銀行が加わったという。
というのも、従来イタリアの銀行は毎月のように口座の資金を照合しており、これらには数週間ほどの時間がかかってしまうという大きな問題を抱えていた。しかし、新しいアプリケーションでは、ブロックチェーンベースのプロセスの実装により、共有アルゴリズムを使用して一致しないトランザクションを自動的に検出し、プロセスと単一の通信チャネルの両方を標準化することで、処理は1日以内に実行できるとのこと。
また、ABIの発表によると、3月以降2億400万件のトランザクションがSpuntaのインフラストラクチャによって処理されており、協会はこの数が年末までに3億5,000万件を超えると予測している。
ABIはその他にも700以上の銀行機関で構成されており、今年初めにイタリアの銀行がデジタルユーロを試験運用する準備ができていると発表している。Cordaの実装を推進しているSBI R3 Japanのビジネス開発部長である山田宗俊氏は、イタリアでマイルストーン通りに100行が参加できたことは非常に嬉しく思っており、cordaが商業レベルでも利用できることを証明できたと語っている。
イタリアの銀行業界のブロックチェーンネットワークであるSpuntaは、他のヨーロッパの銀行からも大きな関心を集めており、「nostro」(銀行間取引での資金決済を行なう当方の決済口座)と、「vostro」(銀行間取引で外貨資金の決済を行うために、相手の銀行が外国に現地通貨で保有する口座)を一致させることを目的とした国際ワーキンググループを作成することも検討されているようだ。
銀行機関へのブロックチェーン導入には課題が多いとされていたが、今回イタリアでSpuntaのような前例ができたことは、世界中に大きな影響を与えるだろう。