タイ中央銀行、デジタル通貨のプロトタイプ計画を発表
タイ中央銀行(BOT)が今月18日木曜日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を使用して企業向けの決済システムのプロトタイプの開発計画を発表した。プロトタイプ(原型タイプ)により、タイの中央銀行は実現可能性調査を実施し、CBDCをSCGサイアムセメント(Siam Cement Group)社によって開発された調達および財務管理システムプラットフォームと統合する方法を開発することも可能だ。
CBDCプロトタイプは2020年7月に開始され、今年末まで稼働すると報告書で述べており、ビジネスにおけるより高い支払効率を促進するための金融革新として役立つことが期待されていると付け加えた。
BOTは、パイロットプログラムがProject Inthanon(プロジェクトインタノン)の知識を活用することを明らかにした。これは、タイの銀行と主要な8つの金融機関との共同プロジェクトで、政府が支援するデジタル通貨を使用した国内送金システムの研究開発をしている。なお、積極的にCBDCの使用例を調査しているBOTは、今年の初めに香港金融庁(HKMA)と協力して、国境を越えた送金プロトタイプの完成に成功している。
中央銀行によるCBDCリサーチ
CBDCは、世界中の中央銀行の間でスタンダードになりつつあり、すでに開発中のものや、国が主導で仮想通貨を発行することの潜在的なメリットとデメリットを調査している検討中のケースも見受けられる。
韓国銀行(BOK)では、デジタル通貨をテストするパイロットプログラムをすでに開始しており、2021年12月までの22か月間続く予定のプロジェクトにて、CBDCの作成と発行に関する技術的および法的要件を特定する。パイロットテストの開始後、BOKは6人のメンバーからなる諮問(しょうもん)グループを設立し、中央銀行が立ち上げから統治まで関与するデジタル通貨に関する法的問題を調査および検討を予定している。
中国も国営のデジタル通貨の発行に注力しており、昨年6月にFacebook社のLibraプロジェクトが発表されると、触発されたかのように11月にも流通するのではないかといった、発行間近と感じられる報道が続いている。これまで中国では、国がCBDCの立ち上げを加速してアフターCOVID-19の大規模な経済刺激策を実施し、経済戦争状態にある米国の脅威に、潜在的な結果をコントロールさせる可能性が高いことを明らかにしている。同様に、スウェーデンの中央銀行も今年2月、一般市民がデジタル通貨を使用した場合のデジタル通貨の可能性についての調査のため、デジタル通貨テストグループを設置すると発表している。
国際決済銀行(BIS:Bank for International Settlements)は、70行近い中央銀行を対象にした年次調査報告を発表。この調査では、CBDCに取り組んでいるかどうかなどの進捗状況を調査しているとCoindeskが報じている。報告書によると、調査対象66中央銀行のうち、80%は何らかの形でCBDCに取り組んでいるほか、40%近くが実験や概念実証の段階に進んでいることが分かっている。
日本では、日本銀行がイングランド銀行など、7中央銀行とBISが中央銀行デジタル通貨に関するワーキンググループを設置している。