レバレッジ倍率2倍へ、金融庁が方針固める
金融庁が2日、少額の元出で多額の売買ができる証拠金取引の倍率(レバレッジ)を最大2倍にする方針を固めたことが日経新聞の報道で明らかになった。国が明確に仮想通貨の証拠金倍率を規定するのは初めてで、2020年春に施行する改正金融商品取引法の内閣府令で規定する見通し。国を挙げて、仮想通貨の法体制が整いつつある。
レバレッジとは、投資に自己資本を元本として資金調達を行い、取引額を自己資金以上に引き上げる取引方法だ。日本国内では、円の最大レバレッジは最大25倍。一方、仮想通貨では、海外で、最大200倍の取引所が存在している。
国内仮想通貨業界では、これまで金融庁認定の自主規制団体「JVCEA(一般社団法人日本仮想通貨交換業協会)」が2019年5月、18年1月に約580億円が流出したコインチェック事件などを踏まえ、レバレッジ上限を15倍から4倍に設定。正会員としてJVCEAに所属する各仮想通貨取引所が適用してきたが、春に施行される改正金商法でレバレッジも規制対象にする方針だ。
金融庁は差し当たって、倍率を2倍と定める規制案に関する意見公募を1月に実施。今春にも施行する。
レバレッジの引き下げの背景
なお、レバレッジを2倍に引き下げる可能性は2019年から指摘されてきた。今回の規定する理由は、過度な投機や価格の乱高下による損失リスクを抑えたり、国が明確なルールを設定したりすることとしている。
明確なルール設定で、安全な取引が保証される見通しが立つものの、SNSではユーザートレンドでレバレッジ2倍の規制に対し、不満の声が上がっている。業界関係者からも「最大証拠金倍率2倍まで引き下げられるような状況になれば、投資家保護の仕組みが不十分な海外の取引所に利用者が流れる傾向はより加速することになる」との指摘がある。安全と利益という天秤で、意見が分かれているようだ。
なお、実際に取引に使用している証拠金に対する現状の仮想通貨の証拠金残高は現在、100%。20年春に施行する改正金融商品取引法では、改正対象にならないとみられる。