BeyondBlocks レポート Part.5

BeyondBlocks レポート Part.5

運営の堀口

4/4〜4/5の2日間にかけてウィンストンホテル東京(目黒区)で開催された国際サミット「BeyondBlocks 東京サミット2018」にメディアパートナーとして招待いただきました。

世界中からブロックチェーンに関連するトップリーダー、開発者、投資家、そしてブロックチェーンに熱狂する仲間たちが東京に集結しました。

今回はその国際サミットの模様を取材したレポートに加え、運営 堀口の見解と考察も交えお伝えします。

 

  • キーノートセッション:従来型マネー、その仮想通貨への転換
  • 登壇者:John Burbank, Founder & Chief Investment Officer, Passport Capital

Passportでは、市場は長期的な世俗的傾向の良いディスカウンターではないと考えています。特に歴史的前例がないときはそうです。

加えて現実的にリターンを生み出すためには、かつてなかったことのないことに投資する必要があります。

ブロックチェーン技術は、世界経済の大半に影響を与えるそのような革新的進歩の1つです。

私たちが注目しているブロックチェーン / 暗号通貨資産クラスの重要事項はセキュリティ トークンで、このトークンはほとんど無制限のプライベート資産で、取り引きを高速化し流動性を促進する可能性があります。

世界中の投資家は今後のテクノロジーがどうなっていくか考えており、テクノロジーのブレイクスルーは今後発生するとのことでした。金融機関はこの変化を受け入れなければならず、自動運転においてもドイツアメリカは法整備がなされており、ブロックチェーンにも似たようなことが言えます。

中国が遮断しようとしても、遮断出来ないのがブロックチェーンの市場であり、技術革新と共に現在約300億ドルの市場は拡大することは間違いないでしょう。

 

  • キーノートセッション:Liberalism and the Blockchain
  • 登壇者:Patrick Byrne, Founder, tZERO

Bitcoinで最も重要なのは、ブロックチェーンであり、その変革を歴史を交えてプレゼンしました。

昔は証券を自転車で運んでいて、やがて取引量が増え、自転車での配達が間に合わず、取引時間が短くなりました。

問題解決として、P2P決済を導入しました。

中央集権的なシステムです。

しかし、2008年にこのシステムが崩壊しました。

NASDAQ(アメリカ大手証券取引所)の会長は「ウォール・ストリートで取引されるものは100%トークンに置き換え可能だ」と発言しました。

Bitcoinの歴史を紐解くと、2008年9月15日のリーマン・ショック後のアメリカ中央銀行の対応を批判し、現在の貨幣システムへ疑問を持つようになり、それが発明の起源ではないかと考えられています。

国の監視下にない通貨、という革新的なアイデアが世界経済の中心になるには、まだまだ時間が短すぎます。

 

  • パネルディスカッション ICO vs. VC
  • 登壇者:
    モデレーター アバサ・フィリップス(Abasa Phillips)/Zilla 創設者兼CEO 
小林 慎和(Noritaka Kobayashi, Ph.D)/Last Roots 創設者 
マーク・ビヴェンズ(Mark Bivens)/Truffle Venture Capital ベンチャーパートナー
マリナ・チトワ(Marina Titova)/ NBK Group デジタル・キャピタル・マーケット部トップ
スティーブン・ネラヨフ(Steven Nerayoff)/Alchemist 創設者兼CEO
Natavudh “Moo” Pungcharoenpong, Co-CEO, SIX Network

暗号通貨は、立ち上げ資金融資の新しい手段 ICO として世界中で導入されはじめています。

既に何十億ドルもの資金へと姿を変えてきている一方で、障害や詐欺、伸び悩みなどが起こる不確かなエリアでもあります。ICOは、従来のVC投資と何が違うのでしょうか。

ディスカッションは、資金調達方法になぜICOを選んだのか、という議題から始まり、実際にICOを実施したプロジェクトのリーダー達が答えました。

「ICOとVCの両方の選択肢があったが、資金調達方法のトレンドを見てICOを選んだ。」
「トークンは使う人がいて初めて価値が生まれる為、ユーザーが直接参加できるICOを選んだ。」
「VCの資金調達はパートナーシップが必要で、トークンへの投資はされないことが多い。この問題を変えつつも、ICOを追求することが大事だと考えている。」

このように、仮想通貨ブームの追い風を受けて、VCよりも容易く資金調達が出来るICOを選んでいるようです。

他にも、「数年前では、シリコンバレーの企業しか出来なかった資金調達が、ICOのおかげで簡単に行えるようになった。」
「トークン=新しい資産という理解が広がりつつあると思う。」と言います。

続いて、資金調達の手段としてICOとVC、どちらを選ぶべきかという議論に。
「VCの多くはこれまで長期的な所有者だったけども、仮想通貨ヘッジファンドは長期的に所有したくないことが多い。」
「VCによって支配されるようなスタートアップを迎えるのが嫌だという意見もある。」
「VCを選ぶなら、開発のマイルストーンを設定し、その達成の度に資金を渡すのがいいと思う。」

など、VCではスタートアップと投資家の双方から見て難しい点を挙げました。

 

また、スタートアップから見たICOとVCの違いについても言及しました。

「仮想通貨は価格の予測が難しい。というのも前例がないから。VCは長期投資なのでいつまでもいるが、ICOで参加したトークンホルダーはいつまでもホールドし続けるとは限らない。」
「VCはチーム内で期日を決めなければならず、内部からのプレッシャーがある。一方でICOは外部からのプレッシャーがある。理由はトークンホルダー達は価格の上昇を望んでおり、開発期間が長くなるほどそのプレッシャーは増していく。」

など、VCは長期的、ICOは短期的な価格変動を望む投資家が多いという特徴が語られました。

実際にICOを実施した方々の議論は今後のICOの在り方について考えさせられる内容でした。

ICOはこれまでの資金調達と比べ、スタートアップと投資家の関係がオープンであることがメリットでしょう。

しかし、その利便性は悪意に使われていることも事実です。各国の規制当局は、投資家保護を名目に、ICOへの規制を進めていますが、優秀なスタートアップが埋もれてしまうことも非常に残念ではあります。

課題は多いですが、ICOはブロックチェーン普及の為に必要不可欠な手段であって、目的にしてはいけません。

スタートアップ、投資家、国家などが共により良い方法を引き続き議論していく必要があります。