BeyondBlocks レポート Part.4

BeyondBlocks レポート Part.4

運営の堀口

4/4〜4/5の2日間にかけてウィンストンホテル東京(目黒区)で開催された国際サミット「BeyondBlocks 東京サミット2018」にメディアパートナーとして招待いただきました。

世界中からブロックチェーンに関連するトップリーダー、開発者、投資家、そしてブロックチェーンに熱狂する仲間たちが東京に集結しました。

今回はその国際サミットの模様を取材したレポートに加え、運営 堀口の見解と考察も交えお伝えします。

 

  • 基調講演:チーム作りー信頼か才能かー
  • 登壇者:
    Quantstamp 創設者兼CEO リチャード・マー(Richard Ma)
    Interviewed by Gabriel Yang, COO, Beyond Blocks

Quantstampは、イーサリアムスマートコントラクトのブロックチェーン公開前にその脆弱な箇所を発見するために設計された初のスケーラブルなプロトコルです。

このくつろいだ会話においてRichard Maは、最近Y Combinatorを去ったチームについての彼の見解を語ります。

このチームは当初2人の設立者からなる小さなものだったが後にもっとずっと大きなチームになりました。Richardはホワイトペーパー執筆から、そこから75日も経たないうちのQuantstampテストネットを公開しました。

彼はこれがブロックチェーンに関わる全ての野心的な起業家に向けての起爆剤になることを願っています。

ブロックチェーン業界での成功を目指すスタートアップベンチャーにとって、チーム作りは大きな課題でしょう。

革新的過ぎるが故、精通した人材が慢性的に枯渇しているのが現状です。

 

  • 基調講演:Mobiusとブロックチェーンベースの決済ソリューション
  • 登壇者:Cyrus Khajvandi, COO and Co-Founder of Mobius

多くのブロックチェーン企業とは異なり、Mobiusはトークンセール以前に実稼働製品を所有しており、既存企業によるブロックチェーンベースの決済受け入れを可能にするユニバーサルAPIが、数多くのメディアで記事として取り上げられると同時に、「DApp Store」のGoogleランキングで1位を獲得しました。

また、データの未来に革命をもたらすプルーフ・オブ・ステーク・オラクル・プロトコル (PSOP) に関する2件の特許を出願中です。さらにMobiusは、他のブロックチェーン企業が、いずれもERC-20でトークンの構築を行う中、それらとはかなり一線を画す考えを持って、StellarでMOBIトークンを構築する決定をしました。

Mobiusはそれ以降、3,900万ドルのトークンを完売し、KYC/AMLの登録者数は58,000人超に達して、2017年第4四半期および2018年の最も成功したトークンセールのひとつとなりました。

MobiusのICOは大きな話題を呼び、資金調達に成功しました。決済ソリューションの実現に向けての課題は至ってシンプルで、実際に使われるかどうかです。

Mobiusは解決策として、Stellarと共同でコンセンサスプロトコルを開発しているそうです。

Stellarの開発陣は元々Rippleの開発に携わっていた経緯があり、高速での決済処理に自信を持っています。

KYC登録者が6万人近いことも実利用に向けて大きな付加価値を生みます。

仮想通貨における決済プロトコルの実利用化を目指すプロジェクトは少なくありませんが、未だ成功を収めたと言えるものはないでしょう。このプロジェクトは大きな可能性を秘めています。

 

  • 基調講演:ブロックチェーンの歴史、ブロックチェーンの未来とその課題
  • 登壇者:Brandon Synth, Co-Founder, Skycoin

Brandon氏はまず、Bitcoinの数学的観点から、「Bitcoinは最初の仮想通貨であるが、これが最後にはならない」、「Bitcoinは仮想通貨のプロトタイプである」と発言しました。

「Why Bitcoin will Die(この先ビットコインはなぜ死ぬのか」という過激ともとれるテーマを元にBitcoinの問題点と課題についても言及。

一般的に知られている問題は、スケーラビリティ問題や、トランザクションのスピードなどですが、ここで挙げられたのはBitcoinのマイナーが少数のマイニングプールに占有されていることでした。

Brandon氏は「Bitcoinの技術的な問題を解決するソリューション(Lightning Networkなど)があったとしても、一部のマイナーが送金手数料の報酬の為に、懇意的に問題の解決を拒んでいる」と言います。

思い返せば、2017年末、仮想通貨市場が爆発的に拡大した際に、Bitcoinの送金詰まりや手数料の高騰が問題視されました。この問題はマイナーが多く報酬を得る為に懇意的に引き起こされているという指摘もうなづけます。

Skycoinには従来のPOWやPOSにおける合意形成の問題を反映した「Obelisk(オベリスク)」という新たな合意形成アルゴリズムシステムが採用されています。

このシステムはマイニングを必要とせず、Bitcoinの問題として挙げられる膨大な電力消費を解決出来ると発言しました。

Skycoinはトランザクションのスピードは比較的速く(秒間500件以上)、VISAと同等のスピードを誇り、手数料も無料です。

他にもトランザクションの高速化を実現したものはありますが、VISA並みの速度があれば十分でしょう。さらに、新たなアルゴリズムとしてニッチではありますが、注目されており、SkycoinプラットフォームでのICOも30件程実施されています。

課題は知名度の低さ。

現在、上場済みの取引所はcryptopiaだけです。

開発陣の方々に取材し、お話しさせていただきましたが、マーケティングに課題があることは自覚しているようです。

実際に会場にはSkycoinのコスチュームを催した暗号通貨芸人 みさちゃすさんがプロモーション活動を行うなど、開発陣の中にマーケティングに精通した人材が不足しているのでしょう。

しかし、ブロックチェーン業界においては、マーケティングにばかり気を取られ、プロジェクトがおざなりになっているものも少なくありません。

これからブロックチェーン業界はさらなる飛躍を遂げ、マーケットも成熟していくに違いないでしょう。

その中で前者と後者、これから数十年というスパンで成熟していくであろうブロックチェーン業界において、果たして生き残るのはどちらでしょうか。