テザー(USDT)、イーサリアムネットワーク“ERC-20”への切り替えを発表

テザー(USDT)、イーサリアムネットワーク“ERC-20”への切り替えを発表

2019年8月6日、仮想通貨取引所Bittrexが公式ツイッターで、テザーをOmniベースからイーサリアムのERC20ベースに切替えたことを発表した。前日から停止していた入出金は現在再開している。ユーザーは新しいイーサリアムブロックチェーンで送金用アドレスを再生成する必要がある。また、この切替えによって、出金手数料が1USDTに引き下げられた。

Bittrexのこの発表はネット上で話題になったが、イーサリアムのトランザクション数の増加や、トロン(TRON)など他のプラットフォームも併せて話題になることが多かった。

なぜ注目される?

Omni(OMNI)はビットコインのブロックチェーンを利用してトークンを発行できるプラットフォーム機能をもつ仮想通貨だ。自身が分散型取引所(DEX)にもなる。テザーを始めとするOmniで発行されたトークンの送金には、安全なビットコインネットワークを利用できるメリットがある反面、送金に時間がかかる・送金手数料が高額といったデメリットもある。

この欠点をユーザーのために解消するべく、各取引所はテザーをOmniベースから他のプラットフォーム機能を持つ仮想通貨に切り替えているのだ。テザーのトークンベースには「USDT-Omni」の他、「USDT-ERC20」「USDT-TRON」「USDT-EOS」などがある。
Huobiは2019年2月にERC20とOmni、両方のサポートを開始。バイナンスは2019年7月からERC20のみに切替。BitForexは2019年4月からERC20・TRC20・Omni、3種類のサポートを開始。Poloniexは2019年7月からERC20・TRC20・Omni、3種類のサポートを開始

トロン財団がUSDT (テザー)のエアドロップを発表|TRC-20ベースのUSDT発行

2019.04.19

ステーブルコイン自体も注目されている

TradeBlockの記事によれば、今まで投資目的(基軸通貨として)で売買されることの多かったステーブルコイン上位5種の合計転送量が、モバイル決済サービス「Venmo」の合計支払い量を超えた。これにはテザーのERC20変換が大きく影響している。2019年に入り大手取引所が続々とERC20に切り替え、安い手数料と送金速度UPが可能になったため、ユーザーが投資目的でなく、実用目的でも利用するようになったからだ。

記事では、370億ドルを送金するのに費やされる送金手数料は、上位5種のERC20ベースのテザーなら82.7万ドルで、Venmoでは1億5000万ドルにもなると予想している。送金にかかる手数料や費用が1/180に押さえられる計算だ。今後仮想通貨は「利益を生む」ための手段ではなく、「無駄な出費を抑える」手段としても大いに注目を集めるだろう。