VeChainのワイン貿易に、透明性を提供|WTP、売上増など着実な成果
VeChainのBaaSプラットフォームを搭載したワイン・トレーサビリティー・プラットフォーム(WTP)が着実に成果を挙げている。同プラットフォームは、上海自由貿易試験区で扱われる20種類以上のワインを対象に運用。消費者からの信頼が高まり、ワインの販売額が上がるなどの効果が出ている。
WTPはワイン偽造の対抗策として、中国の大手輸入業者D.I.GがパブリックブロックチェーンのVeChainと連携して開発された。2018年6月にリリースされ、同試験区で扱われるワインで運用されているほか、最近はオーストラリアワインのペンフォールズのビン407が新たに運用対象となった。
WTPが運用されているワインは、原産地などの情報がブロックチェーンで保存され、ボトルには製品情報を追跡するための近距離無線通信(NFC)チップが装備されている。さらに、ワインのトレーサビリティープラットフォームは2つの政府機関に監視され、ブロックチェーンに保存されている情報は独立系監査法人のDNV GLなどによって保証されている。
堅牢な情報システムから運用実績は着実に出ている。DIGはリリース以来、WTPによって消費者からの信頼性が向上し、ワインの売上額が平均して10%増加したと報告している。
VeChainとは。
VeChainは、エンタープライズ向けのパブリックブロックチェーン。サブプライムチェーン管理の改善を目的に、自動車メーカーのBMWやルノーなど複数の企業のシステムに採用されている。世界最大の認証サービス会社、DNV.GLと連携し、デジタルエコシステムの構築に取り組んでいるほか、低コストで誰でもブロックチェーンソリューションを実装できるTool ChainというBaaSソリューションの開発と提供にも尽力しており、同ソリューションはWTPのシステムに適用された。
成長する中国のワイン市場/横行する不正
中国は経済成長に伴って人々のライフスタイルが変化しており、ワインを嗜好品として楽しむ人が増えている。民間調査会社のレポートによれば、2018年に中国に輸入されたワインの輸入総額は前年比6.5%増の39億1000万ドル。2023年までに世界第2位のワインの消費大国となり、市場規模は230億ドルになると予測している。
一方で、ワインの消費量が増えると、偽造も増えている。中国当局は5ヶ月の間に、生産地を偽った約6万5000本のワインを押収。押収品の時価総額は400万ドル以上とされている。(小村海)