ベネズエラでビットコインの取引量、過去最高を記録

ベネズエラでビットコインの取引量、過去最高を記録

政権失政を背景に経済崩壊と、それに伴うハイパーインフレが続くベネズエラで、ビットコインの取引量が過去最高となった。

ピアツーピア(P2P)での取引データを追跡する「コインダンス」によると、7月14日から20日までの1週間、570億ボリビア(574BTC)が取引され、前週に記録した最高記録の490億ボリビア(520BTC)を上回った。

ハイパーインフレにより、ビットコインの避難通貨としての需要が増える。

ビットコインの取引量増加の理由としては、P2Pの取引が行われる個人間のOTC取引(相対取引)が活発化しているのに加え、経済崩壊に起因するハイパーインフレがある。
ハイパーインフレは、マドゥロ政権が招いたベネズエラの経済崩壊が原因だ。マドゥロ大統領は2013年の就任以降、価格統制や外資系企業の資産接収で経済をゆがめ、深刻な自国通貨ボリビアの下落を誘引。ボリビアは19年1月に年率268万%のインフレを記録するなど、急速に価値を減らしている。

結果、国民が自国通貨に代わりに、資産を守る避難通貨としてドルなどの外貨や仮想通貨を使う動きが広がり、ビットコイン取引量の増加につながったとみられる。

その一方で、マドゥロ大統領が公式で始めた、国内の原油の価値に裏付けされた仮想通貨ペトロに対する評価は良くない。

大手通信社ロイターによる調査ではペトロの存在は確認されていないほか、グアイド暫定大統領は「人々をだまし続けるために使われているマドゥロ政権が作った冗談のような通貨」と批判している。(小村海)