日本金融庁が新たに仮想通貨規制の草案を公開
日本の金融庁は、金曜日に仮想通貨とICOのための新たな規制枠組みに関する草案を発表した。
金融庁の第11回研究会の報告書には、過去10回の研究会の勧告が掲載されており、金融庁がその内容に基づき規制を草案する予定のため、報告書に提案された措置に反対は無かったという。
報告書における主な内容の一つは、今年1月に発生したコインチェックのNEM流出事件と、9月のZaifハッキング事件に関する防止と対処に関するものである。
金融庁はセキュリティ対策の観点から、秘密鍵を可能な限りコールドウォレットで管理することなど「顧客財産の管理・維持」の強化を仮想通貨取引所に要求している。
また、消費者保護のため、仮想通貨交換業者がハッキングを受けた際に、純資産を「通貨及び返済資金に等しい金額以上にする」ということが必要であると述べている。
さらに報告書には、仮想通貨交換業者が倒産した場合の対策、顧客資産の保全、取引価格の透明性確保、仮想通貨の不公正な現物取引への対応などが記載されている。
仕手取引についての対応
「仮想通貨の不公正な現物取引への対応」については、以下のような事案が指摘されている。
仕手グループが、SNSで特定の仮想通貨について、時間・特定の取引の場を指定の上、当該仮想通貨の購入をフォロワーに促し、価格を吊り上げ、売り抜けたとされる事案
こういった仕手取引は、金融庁も問題視しているようだが、報告書では「現時点で、有価証券の取引と同様の規制を課し、同等の監督・監視体制を構築する必要性まで認められない」としている。
仮想通貨と有価証券の取引では重要性や経済活動上の意義が異なるとされ「一定の対応は必要」というレベルの状況だ。
匿名通貨に関する扱い
匿名通貨に関する扱いは以下のようにされている。
仮想通貨の設計・仕様は様々であり、中には移転記録が公開されず、マネーロンダリング等に利用されるおそれが高い追跡困難なものや、移転記録の維持・更新に脆弱性を有するものの存在も知られてきている。
このため仮想通貨交換業者において、利用者保護や業務の適正かつ確実な遂行の観点から問題がある仮想通貨を取り扱わないための措置を講じる必要があると考えられる。
匿名通貨とは記載されていないが、明らかにそれを指している書き方である。
この点から国内での匿名通貨の取引は絶望的と言えるだろう。
ICOへの対応
ICOへの対応については、問題が多いとしつつも将来の可能性も含めた一定の評価もあるとし「現時点で禁止すべきものと判断しない」と記載されている。
適正な自己責任と、規制内容の明確化を基本的な方向性としていくと考えている。
ICOの性質に応じ、投資商品の販売となるものについては「金融規制」を、支払い・決済手段の販売となるものについては「決済に関する規制」をそれぞれで対応していくようだ。
他にも「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」へ変更、仮想通貨カストディ業務への規制、仮想通貨デリバティブ取引の規制導入、などについての草案がまとめられている。