クアンタム(Qtum/QTUM)の特徴・詳細とは?

シンガポールにあるQtum財団のオープンソースブロックチェーンプロジェクトで開発されたQtum(クアンタム/QTUM)は、仮想通貨時価総額1位と2位、Bitcoin(ビットコイン/BTC)とEthereum(イーサリアム/ETH)のコインの利点を併せ持った、ビジネス志向の次世代トークンです。

Qtum財団の創業者兼CEOであり、QtumをリーディングしているPatrick Dai(パトリック・ダイ)氏は、2018年現在28歳の若さの超有能若手アントレプレナー。アメリカの経済誌Forbesの特集『30 under 30』(30歳以下30組の若手起業家)にも選出されたことのあります。

氏は、ブロックチェーン技術がインターネットの構造的基盤になることを予想し、そして、モバイルプラットフォームこそが仮想通貨を大衆市場へ導入するための唯一の窓口であるという理念のもとに、インターネットに接続するモバイル端末で仮想通貨およびスマートコントラクト利用するのに容易なトークンとしてQtumを開発しました。

その開発方針は、現在最も成功している仮想通貨の技術のいいとこどりをするという、地に足の着いた現実的なものでした。具体的には、イーサリアムのスマートコントラクト機能をビットコインのUTXOモデルでの動作を実現することで、独自のトークンQtumを作り上げています。

ますます発展しダイナミズムを見せる、スマートフォンによる個々人と社会を繋ぐインターネット網のなかで、より流通することを考えて作られたビジネス志向・現実志向のQtumについて、この記事では詳しく解説していきます。

クアンタム(Qtum/QTUM)の最新価格・相場・チャート・評価


クアンタム(Qtum/QTUM)の特徴・詳細とは?|現実的でビジネス志向、中国ゆかりの次世代トークン

Qtumは、2016年の3月にプロジェクトを開始し、2017年の3月にICO、10月にメインネットを立ち上げて独立したブロックチェーンとなったトークンです。まだプロジェクトを始めてから3年経っていないのですね。これからの仮想通貨と言えると思います。総発行量は1億枚を設定しており、1億枚到達後には1%ずつ増加するように予定しています。先に述べたとおりQtumは、BitcoinとEthereumのブロックチェーン技術の利点を合わせた仮想通貨です。それがQtumのアイデンティティとなっています。

スマートコントラクト

イーサリアムと言えばスマートコントラクトです。言わずもがな、スマートコントラクトとは、契約の自動実行のこと。これをブロックチェーン技術と組み合わせたことがイーサリアムのエポックでした。この機能を、Qtumも実装しています。

イーサリアムのスマートコントラクトにはひとつ問題があります。これを稼動させるためには、スマートコントラクト全体を端末に入れておく必要があるということです。そのため、データ量が多くなってしまい、マシン自体も重くなってしまうという事象がしばしば起きていました。また、イーサリアムのウォレットであるMyEtherWalletを使用する際でもスマートコントラクト全体を端末に入れる必要があるため、動作が遅くいらいらした経験のある方も多いかもしれません。

このことは、「アカウントベース」と呼ばれる、アドレスに直接残高を紐付けることで取引を記録していく技術で、イーサリアムの方針や思想にも関わるところなので仕方ない面もあります。なお、ビットコインはより匿名性を重視するためか「アカウントベース」ではない仕組みを採用しています。

UTXO、AAL

スマートコントラクトの機能をさくさく動作させるために、Qtumはこのビットコインの仕組みを取り入れることにしました。UTXOという仕組みです。ビットコインで採用されているUTXOは、「Unspent Transaction Output」の略です。取引したデータのみに依拠して残高を計算していく仕組みなので、イーサリアムのように全てのデータをマシンに投入しておく必要がなく、自分の取引データのみの処理で高速に動作することができます。Qtumは、UTXOにスマートコントラクトを載せて運用することを実現しているということです。この技術は、アカウントアブストラクトレイヤ(Account Abstract Layer/AAL)という名で呼ばれています。

この、アカウントアブストラクトレイヤで、スマホやタブレットでも容易にスマートコントラクト機能を行うことができるようになりました。

PoS

また、Qtumは、取引の承認/マインニングにPoS(Proof of Stake)を採用しています。ビットコインなどが採用しているPoW(Proof of Work)は作業量で採掘量が決まるので、高性能のマシンを何台も配備して大規模マイニングをしてしまえば、有利な採掘を行うことができてしまい、非中央集権という仮想通貨のビジョンと矛盾している状態になっていることがしばしば指摘されます。なお、実際にビットコインはこのことで個人でマイニングによって収益を上げることはとても難しい状況になっています。

PoSはこのPoWとは違い、作業量やPCの性能ではなく、トークンのシェアを持ってることを証明することで採掘ができるという仕組みです。Qtumは、非中央集権性へよりアプローチしている採掘方法を採択することで、仮想通貨としてその存在性に磨きをかけていると言えます。なお、QtumのPoSではマイニング報酬は発生しません。そのため、個人でのマイニング参画は収益性という点では狙えないかもしれません。

クアンタム(Qtum/QTUM)の2つの特徴

スマートコントラクトとPoS(Proof of Stake)の採用。この2点がQtumの最も大きな特徴と言えるでしょう。Qtumはこの特徴を土台に、仮想通貨としての成功し、その後世界のプラットフォームとして機能することを企図して運営されています。

クアンタム(Qtum/QTUM)の強み

Qtumの強みは、優秀な組織をバックに展開する堅牢さと、そのビジネス志向性からくる利便性や先見性を背景にしたスピード感です。一つずつ見ていきます。

クアンタム(Qtum/QTUM)財団

Qtumの強みと言えばやはり、活発で強固なコミュニティであるQtum財団が挙げられます。2017年3月のICOで、1億QTUMが発行されました。その51%にあたる5,100万QTUMが、ICO応募者へ配布されました。残りの41%にあたる4,900万QTUMは、Qtum財団が保持しています。このことからもQtumには強固な組織がバックにいることが言えると思います。

Qtum財団は、Qtumのブロックチェーン開発とメンテナンス、Qtumによって提供されるサービスを指揮し監督すること、オープンソースのエコシステムの安全と調和を促進することを宣言しています。

中国

先述の若手開発者Patrick Dai(パトリック・ダイ)氏は、中国の超巨大通販サイトであるアリババにて、分析担当者としての勤務経験があります。また、非接触型決済サービスのアリペイや中国の大手不動産会社であるワンシャンともゆかりがあるということで、中国のICT企業に大きな人脈があると見られています。この中国のビジネス界という基盤は、言うまでもなく巨大です。

Qtumは、中国と大きなコネクションを持ち、この国でのブロックチェーン技術の展開に大きくかかわっていく可能性があります。

ライトウォレット

前述のとおり、QtumはUTXOによるスマートコントラクト機能実装をしており、自分の取引情報しか端末に落とさない仕様展開となっています。その関係でライトウォレットを採用しています。既存のウォレットと比べて取引するデータ量が少ないライトウォレットは、その軽妙な動作でスマートフォンなどのモバイル端末との親和性がとても高いです。

モバイル端末でも簡単にウォレットを利用できることで、その普及のハードルを大きく下げ、今後の大衆へのスマートコントラクト技術の展開を見越しているとみなすことができます。これも強みだと言えるでしょう。

クアンタム(Qtum/QTUM)の爆上げ時期

Qtumは、ICO後も大きく価格が上昇することはなくヨコヨコのチャート推移でした。しかし、2017年12月に大きく爆上げをしました。

これはビットコインの爆上げに連動しての上昇です。当時、仮想通貨界全体的に熱狂していたなかで、ビットコインが200万円に到達し、投資業界外でも大きく話題になった時期に、Qtumも最高値をつけています。

その後は、ビットコインや他の仮想通貨と同じように下降し、こつこつと底固めをしている状況です。このことから、Qtumはその高い技術力への注目よりも、2017年末から2018年初頭の仮想通貨ブームの中のアルトコインのひとつと見られがちな側面があります。

クアンタム(Qtum/QTUM)の評価まとめ

Qtumが今後どうなっていくのか、ということについては、今まで見てきた関係性の強い部分がポイントになってくると思われます。それは、ビットコイン&イーサリアム、中国、モバイルの3つです。

クアンタム(Qtum/QTUM)の将来性

ビットコインとイーサリアムの技術融合は、様々な有名人からも支持を得ており、ICOでも5日間で1,500万ドルを資金調達した点からもその期待の大きさが見て取れます。

このビットコインとイーサリアムは、仮想通貨のパイオニアです。もし、時代が変わってこれにとって代わるようなトークンが現れ、需給が崩れて値下がりしまったとしたら、おそらくQtumもそれにつられると考えられます。ビットコインとイーサリアムが古くなった時にQtumも古くなる、と言い換えられるかもしれません。

また、何度も述べている通り、Qtumは中国との繋がりが強固です。中国発で何らかのQtumへの追い風が吹けば、その巨大な市場で大きく普及する可能性があります。そしてその逆もあると言えるでしょう。

さらに、Qtumはモバイルでのスマートコントラクトを推進していますが、モバイル業界は最先端技術が大衆消費される分野なので技術革新が速く、流行が読みにくい業界です。今後5GやIoTが実現し、スマホに代わるモバイル端末が一気に普及する可能性があります。そのときにQtumが立ち位置を変えずにいられる担保はありません。しかし、スマートコントラクトのモバイルでの活用、というシーンのど真ん中で利用されるトークンになることができたら、Qtumは一気に覇権を取ることができるでしょう。今まで述べてきた通り、このコインにはその技術的素養もリソースも十分にあります。

向こう数年で、様々なレイヤーでの技術革新が進み、状況が刷新したらどうなるか。注目していく必要があります。