Phantomが米国ユーザー向けにKalshiと連携した予測市場を開設、ビットコインやスポーツ市場も提供

Phantomが米国ユーザー向け新予測市場サービスの提供を開始

大手暗号資産ウォレットプロバイダーのPhantom(ファントム)は、米国の対象ユーザー向けにCFTC(米国商品先物取引委員会)の規制下にある取引所Kalshi(カルシ)を統合し、新たな予測市場サービスの提供を開始した。

これにより、2,000万人を超えるPhantomユーザーはアプリを離れることなく、ビットコイン(Bitcoin/BTC)の短期価格変動やスポーツの試合結果、経済動向、政治事象など、現実世界の出来事を対象とした「イベント契約」の取引が可能となる。

アプリ内におけるKalshi予測市場の取引構造と手数料

この新たなサービスは、Phantomアプリ内に新設されたPredict(予測)タブから利用できる。ユーザーはリアルタイムの市場データやスポーツのスコア、ライブチャット機能を通じて市場の議論を確認しながら、トークンスワップに近い操作感で迅速に取引できる。資金調達には、ステーブルコインCASH建てのPhantom Cash残高が使用され、ポジションの決済で得た収益も同様にアカウントへと還元される仕組みだ。

取引にあたっては、KYC(顧客確認)、取引口座の管理、注文執行、決済のすべてを規制対象取引所であるKalshi(KalshiEX LLC)が担当。Phantom自身は取引所を運営せず、顧客と市場を接続する流通レイヤー(インターフェース)として機能する。料金体系は、契約ごとにPhantom側のプラットフォーム手数料0.01ドルとKalshi側の取引所手数料0.01ドルが発生するほか、手数料の分配取り決めによりPhantomにも取引活動に応じた商業的インセンティブがもたらされる。

CFTCのノーアクション・レリーフによる法的裏付け

Phantomの今回の迅速な展開を支えているのが、CFTCの市場参加者部門が3月に発行したスタッフレター(26-09号)に基づくノーアクション・レリーフ(法的措置を講じない旨の通知)である。

この措置により、顧客資産を自ら直接保管せず、独自の売買シグナル生成や注文ルーティングの裁量権を行使しないなどの一定条件を満たすソフトウェアプロバイダーは、IB(導入ブローカー)として個別に登録することなく、ユーザーを正規の登録取引所へ接続することが認められた。9月にはこの方針が他の適格なプロバイダーにも拡大されたが、Phantomはその先駆けとしてコンプライアンス要件をクリアし、ウォレット組み込み型の配信モデルを構築した。

連邦vs州の規制権限争いと各地域の利用制限

連邦レベルでの規制上の位置付けが明確化された一方で、米国全土における法的な不確実性は依然として解消されていない。特に連邦デリバティブ法に基づくCFTCの管轄権と、各州が持つ独自の賭博規制権限との間で解釈を巡る緊張状態が続いている。

実際、Kalshiのイベント契約を州の賭博法違反として問題視したユタ州に対し、CFTCが自らの監督権を守るべく訴訟を起こすなど、裁判闘争に発展するケースも生じている。こうした法的な懸念に対応するため、Phantomではユーザーの居住管轄区域(州)に応じて提供できる市場カテゴリーに制限を設け、利用可能なスポーツや政治関連などの契約ラインアップは地域によって異なっている。今後も訴訟の展開や判決次第で、提供可能な市場範囲が変動するリスクを抱えている。

ウォレット統合がもたらす予測市場の拡大と展望

法的課題が山積する一方で、予測市場全体の取引活動は著しい成長を見せている。DeFi Rate(ディーファイ・レート)のデータによると、10月27日までの30日間におけるKalshiの暗号資産関連契約の取引高は前期間比19.6%増の108億ドル(約1.7兆円)に達した。

とりわけ15分ごとに決済されるビットコイン(Bitcoin/BTC)の短期価格予測などにおいて、ウォレットから別のアプリへ画面を切り替える手間を省く統合インターフェースは、取引のタイムラグや摩擦を劇的に軽減する。暗号資産を日常的に扱う層を直接ターゲットとすることで、Kalshiにとっても新たなユーザー層の獲得につながっている。

今後は、米国における法的な合意形成が進むかとともに、ユーザーが予測市場を日常的なウォレット利用の一部として定着させられるかが持続的成長の鍵となるだろう。

 

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