ユタ州、違法賭博を巡り予測市場Kalshiを提訴—スポーツ予想の閉鎖と最大6000万ドルの損害賠償を請求

州司法当局が踏み切った大規模提訴と巨額の返還請求

米国ユタ州のデレク・ブラウン(Derek Brown)司法長官は記者会見で、予測市場プラットフォームを運営するKalshi(カルシ)およびその関連企業、さらにはSusquehanna(サスケハナ)系列のモルモット的なトレーディング企業2社を相手取り、民事訴訟を提起したと発表した。

KUTV 2 News Salt Lake City「ユタ州のデレク・ブラウン司法長官、オンラインギャンブルに関する法的措置を発表」より画像引用

ユタ州内の第3地方裁判所に提出された訴状によると、同社は2024年以降、州内で認証された3万2,000人を超えるユーザーに対し、スポーツや政治、選挙、文化イベントなどを対象とした賭け契約を違法に提供してきたとされている。ブラウン司法長官は同社の事業を「公衆の迷惑(パブリック・ニュアンス)」と断じたうえで、州民に多大な経済的損失と実質的な害を与えていると強く批判した。

これに伴い州側は、違法なイベント契約を通じて得られた不当な利益約3,000万ドルから6,000万ドル(約47.5億円から95億円)の返還と損害賠償、ならびに州内における全サービスの即時停止を法廷に求めている。

州知事の強い信念とユーザーを脅かすギャンブルの実態

今回の法的措置に対し、ユタ州のスペンサー・コックス(Spencer Cox)知事も全面的な支持を表明している。

知事は自身のSNS上で、Kalshiが提供するサービスの本質は単なる“賭博”に過ぎないと断定。1896年の州制施行以来、同州が貫いてきた厳格なアンチ・ギャンブルの歴史を強調し、時代が変わりスマートフォン越しの取引になろうとも、違法行為を容認しない姿勢を改めて示している。

司法長官もまた、同社のような予測市場企業はユーザーに投資機会や有益な知見を与えるものではなく、利用者の資産を奪う目的で設計されていると警告。さらに州側は、差し止め命令の有効性を担保するため、位置情報特定サービス事業者(ジオロケーション業者)を関与させ、ユタ州内からのアクセスを物理的に遮断する措置まで請求内容に含めている。

なお、法律専門家からは、Kalshi側が州裁判所による即時仮処分を回避する狙いで、即座に案件を連邦裁判所へ移送する法的手続きを進めるのではないかとの見方も出ている。

連邦法と州法の対立:全国へ波及する管轄権を巡る議論

今回の裁判における最大の焦点は、予測市場がCFTC(米国商品先物取引委員会)の監督下にある商品取引(スワップ)として連邦法の保護を受けるのか、それとも各州が独自に規制する「違法賭博」にあたるのかという点だ。

Kalshi側は、自社がCFTCの管轄下にある正規の金融取引所であり、個別の州が拒否権を行使することはできないと反論。しかし、過去に同社が提起した差し止め請求は連邦裁判所や控訴裁判所で不採用・棄却されており、ユタ州による民事提訴を拒む法的障壁は取り除かれていた。

こうした法的論争はユタ州だけにとどまらず、米国ではすでにアリゾナ州が刑事訴追を進めているほか、マサチューセッツ州やニューヨーク州など10以上の州が同様の法的措置を講じている。

さらにNFL(プロフットボールリーグ)が最高裁判所に意見書を提出したほか、ニュージャージー州の訴訟を巡っても連邦最高裁が審理を行うかが注目されている。台湾でも選挙賭博の懸念からプラットフォームが遮断されるなど、予測市場を巡る規制の波は全米、そして世界規模での法的争点へと拡大しているのが現状だ。

 

ABOUTこの記事をかいた人

NEXT MONEY運営です。 「話題性・独自性・健全性」をモットーに情報発信しています。 読者の皆様が本当に望んでいる情報を 日々リサーチし「痒いところに手が届く」 そんなメディアを目指しています。