施行目前での緊迫した実務協議
韓国の金融・財務当局は、国内主要の暗号資産取引所5社および業界団体「デジタル資産取引所連合会(DAXA)」の幹部らを招き、暗号資産に対する所得課税の開始時期について公式協議を行うことが明らかになった。
政府側からは企画財政部のクォン・デヨン(権大英:Kwon Dae-young)第1次官や金融委員会のユ・ヨンジュン(柳永俊:Yu Young-joon)デジタル金融政策局長が、業界側からはUpbit(アップビット)、Bithumb(ビッサム)、Coinone(コインワン)、DigitalX(デジタルX)、Gopax(ゴーパックス)の代表者が出席する。2027年1月1日に予定されている課税開始日まで残り時間が迫る中、実務上の準備や法制度をめぐる議論が再燃している。
今回の課税案は2020~2021年の制定以降、政治的な対立や取引所の準備不足などを背景にすでに3度の延期を重ねてきた。現行制度では年間の投資利益が250万ウォン(約30万円)を超える場合、国税・地方税をあわせて22%の税率が適用される見込みだ。
しかし、政府が今夏の税制改正案でさらなる延期を見送る姿勢を示したことで、規制当局と市場関係者の間には緊張が高まっていた。なお、今回の会頭は意見交換を目的としたものであり、即座に法的決定が下されるわけではない。
2029年までの再延期を求める法案の台頭
こうした局面の中、最大野党「共に民主党」のパク・ミンギュ(朴敏圭:Park Min-kyu)議員により、施行を実質的に2029年まで先送りする新たな改正法案が提出された。
この法案の骨子は、OECD(経済協力開発機構)が主導するCARF(暗号資産報告枠組み)の運用と課税時期を連動させる点にある。国際的な自動情報交換制度であるCARFを通じて他国から取引情報が提供されるのは2027年頃と想定されており、新法案ではその2年後となる2029年初頭からの課税開始を提示している。
パク議員は、海外プラットフォームでの取引記録を把握できないまま国内投資家に先行して課税すれば、不公平な税負担が生じると指摘。さらに、税制を適用する前に、デジタル資産基本法をはじめとする法的な枠組みの整備を優先すべきだと主張している。
投資家の間でも不満は強く、アンケート調査では22%という高税率や低い免税水準、拙速な導入スケジュールに対して7割以上が反発を示すなど、制度に対する不信感が広がっている。
補正が必要な報告システムと業界の懸念
取引所側がもっとも懸念しているのは、コンプライアンス(法令遵守)態勢の未整備だ。
暗号資産特有の取引形態であるステーキングやエアドロップに対する所得算定の基準、発生時期の定義があいまいなままでは、納税者と取引所で計算結果が食い違い混乱を招くリスクが高い。業界関係者は、課税の可否そのもの以上に、双方が統一した基準で正確に申告・計算できる報告システムの構築を優先すべきだと強調する。
法的な効力を持つ開始時期の変更には、今後の予算審議や国会での法改正手続きが不可欠となる。国際枠組みとの連携や実務インフラの構築を巡り、当局と業界の調整がどこまで進むのかが焦点となっている。























