IMF、AI株安とRWA市場拡大に伴うレバレッジ拡大に懸念—金融安定へのリスクを警告

IMFがAI株安とRWA市場拡大に伴うレバレッジ拡大に警告

IMF(国際通貨基金)が発表した最新の「Global Financial Stability Report(世界金融安定報告書)」では、従来の金融市場におけるリスクと暗号資産、DeFi(分散型金融)の領域で急速に広がる新潮流リスクの双方が詳細に分析された。

特に、世界的な株式市場を牽引してきたAI(人工知能)関連株の急速な価格調整と、急速に市場規模を広げるRWA(トークン化された現実資産)のレバレッジリスクが、相互に影響を及ぼしながら金融システムの安定性を脅かす潜在的な脅威として強く警戒されている。

AIブームの期待外れが生む市場調整と集中リスク

AI(人工知能)関連分野への巨額な投資と高い成長期待は、世界的な株式市場の上昇をけん引してきた。しかしIMFは、AI企業が投資家の期待通りの収益を上げられなかった場合、急速なバリュエーションの修正(株価調整)が波及し、金融システム全般に深刻なショックを与えかねないと強調している。

特に懸念されるのは、米国の主要株価指数における一部のメガテック企業への高い集中度です。特定企業の株価急落が投資ポートフォリオ全体を揺るがす構造が存在するほか、AI開発者・インフラ企業・投資家の間での循環的な資金調達構造が、ショック発生時の損失を過大に増幅させる懸念が生じている。

国債利回り上昇とノンバンク金融機関によるショック増幅

AI株調整のリスクをさらに深刻化させているのが、世界的な国債利回りの上昇だ。

借入コストの増加は、データセンターやエネルギー供給網といった大型インフラ投資に多額の資金を必要とするテクノロジー企業の現在価値を低下させ、資金調達環境の悪化を招く。さらに、ヘッジファンドや民間信用供与機関といったノンバンク金融機関(NBFI)の脆弱性にも注意が必要です。過剰なレバレッジ=過大負債や流動性不足を背景とした強制的な資産売却が組み合わさることで、単なる株価調整にとどまらない深刻な金融引き締めショックへ発展する懸念が示されている。

650億ドル規模へ急成長するトークン化RWA市場の実態

一方で、ブロックチェーン技術を活用したRWA(実物資産のトークン化)市場も新たなリスク要因として浮上している。IMFの試算によると、レポ取引等を除いたパブリックチェーン上のトークン化RWA市場規模は約650億ドル(約10兆円)に達している。

その内訳は、トークン化クレジット(債権等)が304億ドル(約4.8兆円)と大半を占め、次いでMMF(マネー・マーケット・ファンド)が約175億ドル(約2.77兆円)、株式が23億ドル(約3,639.5億円)となっている。

特にトークン化株式においては、Ondo Finance(オンド・ファイナンス)とBacked Finance(バックト・ファイナンス)の2社で全体の70%以上を占めるなど極めて高い集中度を示している。さらに、取引の多くは1株未満の単位で一般市場の営業時間外に行われており、個人投資家を中心とした取引スタイルとボラティリティ(価格変動差)の高さが特徴として挙げられる。

新たな波及経路となるレバレッジと規制上の課題

トークン化市場の拡大は、投げ売り(ファイヤーセール)や流動性低下による信用不安(リクイディティ・ラン)など、従来のリスクが新しい経路を通じて拡散する懸念を生み出している。複数のプラットフォーム間でのコンポーザビリティ(構成可能性)や担保利用を通じて、これまでにない相互接続性とレバレッジの連動性が形成されているためだ。

現時点での市場規模を考慮すると、即座にシステミック・リスクへ直結する可能性は限定的とみられる。しかしIMFは、今後の急拡大に備えて管轄区域を越えた国際的な規制の標準化や法的明確性の確保、相互運用性の整備を強く促している。

 

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