ウィンクルボス兄弟、現物Zcash ETF「WINK」のナスダック上場を申請

ウィンクルボス兄弟が現物Zcash ETF「WINK」のナスダック上場を申請

暗号資産界の著名な起業家であるウィンクルボス兄弟が、プライバシーコインとして知られるZcash(ZEC)の現物ETF(上場投資信託)の設立に向け、SEC(米国証券取引委員会)へ登録届出書(S-1)を提出した。

新設されるファンドは、ナスダックでの取引を視野に入れており、ティッカーシンボルには「WINK」の採用を予定している。今回提出された計画では、ファンドの年間スポンサー手数料が0.25%に設定されている点が大きな特徴となっている。

現在、米国市場ですでに運用されている競合の現物Zcash ETF(※グレースケールの「ZCSH」)の管理報酬が2.5%であることと比較すると、その10分の1という極めて低い水準だ。コスト面で圧倒的な優位性を持つことで、機関投資家や個人投資家の資金を強力に引き付ける狙いがあるとみられる。

ファンドの構造としては、デリバティブや先物を介さず、裏付け資産としてZECを直接保有する仕組みを採用。受益証券の作成や償還においては現金決済方式が用いられ、認定参加者が米ドルを拠出してファンド側がZECの売買をする。これにより、投資家は自らウォレットや秘密鍵の管理を行うことなく、通常の証券口座を通じてZcashの価格変動リスクに連動した投資が可能になる。

カストディと最大1億ドルの投資意向

資産の安全性を担保するため、信託が保有するZECの保管(カストディ)は、ウィンクルボス兄弟が運営するジェミニ・トラスト・カンパニー(Gemini Trust Company)のコールドストレージによって厳重に管理される。ジェミニは2018年以降、ZECの取り扱い実績を持つ老舗取引所であり、セキュリティ面での信頼性が強みとなっている。

さらに、ウィンクルボス・キャピタル・ファンド(Winklevoss Capital Fund)は、今回の募集において最大1億ドル(約158.5億円)相当の株式を購入する意向を表明。法的な拘束力はないものの、発行体自らが巨額の初期資金を投入する姿勢を示すことで、市場に対する強いコミットメントをアピールする形となった。

また、申請書類には、Zcashエコシステムのパートナーとしてサイファーパンク・テクノロジーズ(Cypherpunk Technologies)が指名されている。同社はプロトコルに関する助言やネットワーク上の意思決定に関与する予定であり、すでに大量のZEC買い集めやマイニング機器の取得を進めている同社との連携により、強固なエコシステム体制を構築する構えだ。

活況を呈するZcash市場と今後の展望

今回の申請の背景には、ジーキャッシュ(Zcash/ZEC)自体の劇的な価格回復と、プライバシー重視の暗号資産に対する需要の再燃がある。

zk-SNARKsという高度なゼロ知識証明技術により、取引の秘匿性を誇るZECは、一時期の規制当局による監視懸念を乗り越え、主要なデジタル資産として再び脚光を浴びている。2026年1月にはSECがZcashに関する調査を措置なしで終了させており、規制環境の追い風も吹いている。

一方で、プロジェクトが直面してきたリスクについても書類内で言及されている。過去に発覚したシールドプールの脆弱性に伴う価格の急落など、ボラティリティの高さやプライバシーコイン特有の課題に対する警戒感を示しつつ、ネットワーク側のアップデート(NU7など)を通じた技術的な改善も進められている。

ウィンクルボス兄弟によるWINKの申請は、Grayscale(グレースケール)やBitwise(ビットワイズ)に続く動きであり、米国におけるZcash現物ETFを巡る競争をさらに激化させるものとなる。

最終的な取引開始にはSECの正式な承認が不可欠となるが、低手数料と強力なバックアップを武器にしたこの新たな金融商品が、暗号資産市場にどのようなインパクトを与えるのか、今後の審査動向に大きな注目が集まっている。

 

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