韓国FSCが暗号資産マーケットメーカーの対応を強化
2026年9月17日、韓国の大手暗号資産取引所Upbit(アップビット)において、日本円にペッグ(連動)するよう設計されたステーブルコイン「JPYC」の取り扱いが開始された。当時のレートでは約8.8韓国ウォンに相当していたが、取引開始時の価格は12ウォンでスタートした。
しかし、取引開始からわずか1時間ほどの間に価格は一時37.6ウォンにまで急騰し、本来のペッグ価格の4倍以上に達する場面が見られた。この現象は、日本側での価値が急上昇したわけではなく、Upbitのオーダーブック(板情報)が極めて薄く、流動性が著しく不足していたことが主な原因であると指摘している。プロの流動性プロバイダーが存在しない環境下で個人投資家の取引が集中した結果、需給の不均衡が生じ、価格が大きく世界水準から乖離(かいり)する事態となった。
韓国FSCによるマーケットメイキング再検討の背景
こうした価格の急騰によりユーザーが損失を被ったという批判や懸念が高まったことを受け、韓国FSC(韓国金融委員会)のデジタル金融政策局長であるユ・ヨンジュン(Yoo Young-jun)氏は、市場の効率性と安定性を高めるためにマーケットメイキングの仕組みの必要性を検討する方針を明らかにした。
韓国ではこれまで、厳格な仮想資産利用者保護法のもと、マーケットメイキングが市場操作を誘発する恐れがあるとして事実上厳しく制限。そのため、国内市場ではキムチ・プレミアムに代表されるような価格の歪みや慢性的な流動性不足が構造的な課題として指摘され続。専門家の間でも、健全な流動性供給を促す例外規定の導入について議論が重ねられてきたが、今回のJPYCの異常値が規制見直しの大きな転換点となりつつある。
デジタル資産基本法と今後の展望
今回の動向は、単体のトラブルシューティングに留まらず、より広範な規制整備の一環として位置づけられている。
韓国政府や関連機関では、ステーブルコインやデジタル資産市場全体を包括的に網羅するデジタル資産基本法の策定が進められており、国会での審議も予定されている。
ただし、現時点ではFSCが制度導入に向けた検討を表明した段階にすぎず、直ちに特例措置や法的なマーケットメーカーが解禁ない。今後は、基本法の法制化の進展や、発行者レベルだけでなく取引所レベルでのペッグ維持・流動性管理の仕組みづくりがどのように盛り込まれるのかが、市場関係者の最大の焦点となっている。
























