金融庁が暗号資産取引所に詐欺・サイバー犯罪対策を要求、出金遅延措置の導入要請も

金融庁が暗号資産取引所に詐欺・サイバー犯罪対策を要求

金融庁と警察庁は2026年8月6日(木曜日)、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)および加盟交換業者に対し、不正資金の流出を阻止するための具体的な安全対策を要請したことが明らかになった。

今回の措置は、日本国内においてもデジタル資産を悪用した詐欺や不正流出の被害が急増。警察庁のデータによると、2026年5月時点で特殊詐欺の被害総額は1,500億円を超え、SNSを介した投資詐欺や恋愛詐欺による被害も深刻な状況が続いていることが背景にある。特に、詐欺によって騙し取られた資金が暗号資産に換えられ、追跡が困難な海外ウォレット等へ急速に流出する“高速ルート”の存在が大きな問題となっていた。

出金遅延と認証強化を含む11項目の不正対策パッケージ

今回の要請は法的な強制力を伴うものではないものの、11項目におよぶ詳細な不正対策が提示されている。主な内容は以下の通りだ。

出金待機期間(クールダウン)の導入: 法定通貨の入金や暗号資産の購入後、一定期間の出金を制限する措置を求めている。
送金先アドレスの事前登録制: 出金先ウォレットアドレスの事前登録を義務付け、新しいアドレスを追加した際にも待機期間を設けることで、不正な即時送金を防止する。

個別リスクに応じた出金限度額: 顧客の取引履歴や保有資産、リスクプロファイルに基づいた出金制限を設定する。
本人確認と監視の厳格化: 銀行振込時の名義人照合、フィッシングに強い多要素認証の導入、顧客の行動パターンと異なる不審な取引の検知・アカウント凍結などを求めている。
警察との連携: 不正行為の兆候に関する情報共有や、都道府県警察への迅速な被害報告体制を構築。

金融庁は全国一律の待機時間を指定しておらず、各事業者が自社のサービス形態やリスクに応じて段階的にシステムを改修・適用していく方針だ。

サイバー攻撃報告様式の統一と監督体制の再編

金融庁は詐欺対策にとどまらず、暗号資産交換業者を含む金融機関全体のセキュリティ体制強化を進めている。

同月7日(金曜日)には、サイバー攻撃やシステム障害発生時の報告様式を統一するための監督指針改正案を公表。従来はDDoS攻撃(分散型サービス拒否)やランサムウェア等に限られていた共通様式を拡張し、あらゆるサイバー攻撃事案に対応する単一フォーマットを導入することで、インシデント発生時の迅速な実態把握を図る。

さらに、金融庁は組織改編の一環として「暗号資産・ステーブルコイン室」を新設し、これまで分散していた専門部署を統合。税制改正や現物ETF解禁に向けた法整備とも連動し、暗号資産をより主流の金融規制の枠組みへと組み込む動きを加速させている。

取引所利用者への影響と今後の見通し

今回の要請により、暗号資産取引所の利用者には今後以下のような変化が生じることが予想される。

・新規追加アドレスへの送金や初回出金の際の待ち時間発生
・送金先アドレスの事前登録手続の必須化
・過去の取引傾向と異なる高額送金時の追加本人確認や一時的な保留

正当なユーザーにとっても利便性の変化が懸念されるものの、資金の安全確保を優先した措置となる。今後は各取引所からのシステム改修通知やJVCEAによるガイドライン策定、金融庁による正式な監督要件への移行などが注目されている

 

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