ドイツ政府が2027年度予算案で暗号資産の非課税化を目指す
ドイツ政府が、2027年度の連邦予算案において暗号資産(仮想通貨)に対する課税強化に踏み切る姿勢を鮮明にし、長年、同国を「暗号資産の天国」たらしめていた象徴的な非課税ルールが、財政健全化の波に押されて岐路に立たされている。
ドイツの連立政権が合意した2027年度予算案=歳出総額5,433億ユーロ(約100兆円)では、深刻な財政難を背景に、年間約40億ユーロ(約7,400億円)規模の構造的な歳出削減と歳入確保の施策が打ち出した。
その一環として、プラスチックや砂糖への新税導入、酒・タバコへの増税、脱税の取り締まり強化と並び、暗号資産の課税見直しが具体策として明記された。財務省の月次報告書でもこの計画の詳細が明かされており、政府は約20億ユーロ(約3,700億円)の追加歳収を見込んでいる。
「1年保有で非課税」ルールの撤廃へ高まる圧力
現行のドイツ所得税法(第23条)では、暗号資産は「私的資産」に分類されており、購入から1年以上保有した後に売却して得た利益は全額非課税(1年未満の売却でも年間1,000ユーロ(約185,000円)未満の利益なら非課税)という、長期投資家にとって極めて有利な優遇措置が存在していた。
しかし、社会民主党や緑の党を中心に、「従来の投資と比較して不公平な優位性を与えている」との批判が2025年末から噴出。保有期間に関わらず一律でキャピタルゲイン課税を行うべきだという圧力が強まっている。
業界の猛反発と可決への壁
この動きに対し、業界団体からは強い懸念の声が上がっている。
あらゆる売却や決済に課税されれば日常的な利用が阻害されるだけでなく、税制の優遇措置が残るポルトガルなどへ資本や企業が流出する恐れがあるためだ。また、過去には連邦議会がこうした廃止案を否決した経緯もあり、実際の法案審議に向けて激しい議論が予想される。
欧州全体へ波及する懸念
EU(欧州連合)最大の経済大国であるドイツの税制改革は、欧州全体のデジタル資産市場に大きな地殻変動を起こす可能性がある。
オーストリアがすでに保有期間による免税を撤廃して一律27.5%の課税へ舵(かじ)を切るなか、ドイツも追随すれば、欧州におけるキャピタルゲイン課税の統一化への議論が一気に加速するだろう。
DAC8(税務透明性指令:行政協力指令の第8次改正)やCARF(暗号資産等報告枠組み:Crypto-Asset Reporting Framework)といったEUの新たな税務透明性規則が浸透しつつある今、ビットコインの長期保有国として知られたドイツの決断は、近隣諸国の税制競争や投資資金の動向に大きな影響を与えることになりそうである。























