コインベースが英国で仮想通貨サービスの提供を正式承認
Coinbase(コインベース)は、FCA(英国金融行動監視機構)から正式な承認を受け、英国市場で直接仮想通貨サービスを提供する権利を得た。
この承認により、同社はVASP(仮想通貨サービスプロバイダー)としての地位を確立し、英国の投資家やトレーダーに幅広いサービスを展開できる。
FCAは、英国の金融業界における厳格な規制を監督する機関であり、仮想通貨企業に対する審査も厳格化。企業は、AML(マネーロンダリング対策)や顧客保護基準を順守する必要があり、FCAの承認を得るにはコンプライアンス管理やリスク対策が求められる。
FCAの登録リストによると、同社の英国子会社であるCBペイメントズ・リミテッドは、英国で直接仮想通貨サービスを提供する権限を取得した。これにより、第三者の承認を待たずに業務を展開でき、迅速なサービス提供が可能となる。
コインベースの英国市場での展開と仮想通貨取引所としての地位確立
コインベースは英国最大の仮想通貨取引所としての地位を確立し、ナスダック上場企業として個人および法人向けにサービスを提供する権限を得た。
さらに、仮想通貨と法定通貨の交換サービスも提供できる可能性がある。
2018年から電子マネー機関の認可を受けているCBPLは、以前から規制当局の監視下にあり、2020年には金融犯罪対策の強化のためFCAと自主規制を締結。しかし、2023年7月には約13,000人の高リスク顧客に対する規制違反により、FCAから350万ポンド(約6.7億円)の罰金を科せられている。
コインベースのFCA承認プロセスは1年未満で完了しており、2020年の自主規制に関する調査が終わった後、迅速に進められた。
今回の承認がもたらす影響
FCAの認可を受けたことで、同社のユーザーに対する信頼度が向上し、規制の枠組みの中で安全な取引環境が整えられ、英国市場における仮想通貨取引の競争がさらに激化することが予想される。
また、同社は英国に続き、アイルランド、ドイツ、オランダ、イタリアなど他のヨーロッパ諸国での認可取得を進めており、さらなる市場拡大が見込まれる。加えて、ステーキングやステーブルコインなどの新機能の導入が検討されており、サービスの多様化が期待されている。
さらに、同社はデジタル資産の採用と経済的自由の促進を目指し、規制当局との連携を強化する方針を示している。これにより、より透明性の高い取引環境の構築が進み、世界市場での存在感を一層高める可能性がある。
英国市場と仮想通貨の成長と仮想通貨普及率の増加
英国はヨーロッパの金融ハブの一つであり、仮想通貨市場においても重要な拠点となっている。
2024年のFCAの調査によると、英国の成人における仮想通貨保有率は前年の10%から12%に増加し、1人あたりの平均保有額も1,964ドルから2,268ドル(約30万円から35万円)に上昇している。
現在、英国国内で約700万人の成人が仮想通貨を所有しており、ヨーロッパ全体でも仮想通貨の普及が進んでいる。コインベースのヨーロッパ担当副社長であるダニエル・サイフェルト(Daniel Seifert)氏は、次のようにコメントしている。
この技術は、英国全土で雇用、成長、投資を生み出すという大きな利益をもたらすでしょう。私たちは、英国の旅の一部となり、この新しい技術時代がもたらす素晴らしい機会に参加できることを嬉しく思っています。
コインベースのグローバル展開と今後の戦略
コインベースのFCA承認取得は、同社の英国市場での事業拡大にとって重要なマイルストーンであり、安全で信頼性の高い仮想通貨サービスを提供し、さらなる成長が期待される。
また、同社は東南アジア市場にも注目しており、フィリピンやタイでのステーブルコイン導入を検討している。一方、競争が激化する中で、Kraken(クラーケン)はEU(欧州連合)でMiFIDライセンスを取得するなど、大手取引所の間で規制適応が進んでいる。
コインベースは、規制の枠組みを活用しながら世界市場でのプレゼンスを強化し、今後も市場拡大を推進していく方針だ。