バイナンスのイー・ヘ氏が自身のなりすましに注意喚起
バイナンス(Binance)の共同創業者であるイー・ヘ(Yi He)氏が、自身の名前を悪用したなりすまし詐欺について、X上で暗号資産コミュニティに向けて注意喚起を行った。
これに関連し、暗号資産デリバティブ取引所のCoinUp(コインアップ)は、指摘された人物との関係性を否定する声明を発表。事の発端は、中国語圏で拡散されたネット上の情報で、そこでは該当の人物がCoinUpと結びつけられ、同取引所で投資家から資金を持ち逃げする「ラグプル(出口詐欺)」が起きたと主張していた。これに対し、CoinUpは4項目からなる声明を出し、「朱潘氏は当プラットフォームのメンバーではなく、中核的な運営管理や業務には一切関与していない」と、疑惑を全面的に否認している。
2025年12月からリチャード・テン(Richard Teng)氏とともに共同CEO(最高経営責任者)を務めるイー・ヘ氏によると、「朱潘(Zhu Pan)」と呼ばれる人物が過去に彼女の偽アカウントを作成し、本人を騙そうとした形跡があるという。さらにこの人物は、トロン(Tron/TRX)の創設者であるジャスティン・サン(孫宇晨:Justin Sun)氏に対しても、イー・ヘ氏を装って接触を試みている。
イー・ヘ氏はその後の投稿で、この詐欺師がAI(人工知能)技術を悪用し、中国や香港の著名な資産家一族や大手取引所の関係者を偽っていた事実を暴露し。バイナンス創設者のジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏を騙るWeChatアカウントの存在も明かした。これを受けてジャスティン・サン氏もイー・ヘ氏の指摘が事実であると認め、業界全体で法的措置を講じるべきだと訴えている。
この騒動は、SNSを通じて急速に広がる疑惑やデマが、主要な暗号資産取引所や業界の著名人を巻き込み、企業の評判を失墜させるリスクをいかに増幅させるかを如実に示している。特にプロジェクト間のつながりが不透明になりがちな暗号資産市場において、こうした情報拡散の影響力は極めて大きい。
過去の疑惑再燃
今回の騒動は、「Web3老呉」というアカウントが投稿した一連のスレッドがきっかけとなっている。
CoinUpの背後にいる人物は、過去に「BeeCool」というプラットフォームのアクセス数を背景に影響力を拡大し、2018年に巨額の資金を集めたのちに破綻した資金調達を主導したとされる。その後、ノード報酬を謳った勧誘や法外な出金手数料によってユーザーの資産を拘束し、それを原資にCoinUpを立ち上げたと主張されている。
また、同スレッドでは、利用者のKYC(本人確認)情報を含む取引所の管理データが大規模に流出しているという指摘もなされ、一連の記述は2018年の当時の報道と重なる部分が多い。現地メディアの報道によると、当時、仮想通貨プロジェクト「ZJLT」の投資家たちが北京のオフィス前に集まり、50%の株式を持つとされる出資者に対して投資金の返還を求める抗議デモを起こす事態に発展していた。
暗号資産業界では最近、米国シークレットサービスによる過去最大規模の不正資金押収や、投資詐欺を巡る有罪判決、東南アジアを拠点とする詐欺グループの摘発など、大規模事件が相次いでいる。今回のバイナンスやCoinUpを巻き込んだ騒動も、業界が直面している一連のセキュリティおよび信頼性の課題を浮き彫りにする一例だ。























