1年超の分析が示す共通点も決定的証拠は確認されず
ニューヨーク・タイムズ紙は、1年以上にわたる調査を通じて、ビットコイン(Bitcoin/BTC)の創設者サトシ・ナカモトの正体に迫る分析結果を公表した。
Bitcoin’s founder, Satoshi Nakamoto, has remained hidden for 17 years. A trail of clues — and a year of digging by our reporter, John Carreyrou — led us to a 55-year-old computer scientist in El Salvador named Adam Back. https://t.co/s6Jy00IDdk
— The New York Times (@nytimes) April 8, 2026
ビットコインの創始者であるサトシ・ナカモトは、17年間も姿をくらましていた。数々の手がかりと、記者ジョン・キャリルーによる1年間の調査の結果、エルサルバドルに住む55歳のコンピューター科学者、アダム・バックにたどり着いた。
文書分析や過去の投稿の検証をもとに、ブロックストリーム(Blockstream)社のアダム・バック(Adam Back)CEO(最高経営責任者)が最も有力な候補として浮上したが、本人は関与を否定しており、決定的な証拠は確認されていない。
文体分析と技術的共通点から候補を特定
調査はジョン・キャリルー(John Carreyrou)氏が主導し、1992年から2008年にかけての暗号技術関連メーリングリストを中心に実施された。対象は3万4,000人規模に及び、最終的に620人の候補者による13万4,308件の投稿が分析対象となった。
文体の比較では、ハイフネーションの癖やイギリス英語の綴り、文法的特徴などが検証され、サトシの文章に最も近い人物としてバック氏が浮上した。特にサトシの文書から抽出された325種類のハイフネーションの誤りのうち、67種類がバック氏の文章と一致した点が指摘されている。
さらに、バック氏は1990年代後半の投稿において、分散型電子現金システムの設計やPoW(プルーフ・オブ・ワーク)の応用について言及しており、その内容はビットコインの主要構造と重なる。また、同氏が開発したハッシュキャッシュはビットコインのホワイトペーパーでも引用されている。
一方で、これらはあくまで状況証拠にとどまる。文体分析でも決定的な一致は示されておらず、複数の候補の中で最も近いという位置づけに過ぎないとされている。
本人否定と市場の冷静な反応
こうした指摘に対し、バック氏は自身がサトシであることを明確に否定している。長年にわたりメーリングリストで活動してきたため、電子マネー関連の議論と自身の発言が重なるのは自然な結果だと説明し、分析には確証バイアスが含まれている可能性を指摘した。
また、サトシの匿名性はビットコインにとって有益であり、特定の人物に依存しない資産として認識される要因になっていると述べている。
今回の調査は仮想通貨業界に新たな議論をもたらしたが、受け止めは慎重だ。文体や行動の一致だけでは本人特定には至らず、秘密鍵による暗号署名といった検証可能な証拠が不可欠とされている。市場への影響も限定的となっている。ビットコインは7万ドル台で推移し、報道後も大きな変動は見られていない。投資家の関心は創設者の正体よりも、資金流入やマクロ環境に向いている。
今回の分析はサトシを巡る議論に新たな視点を加えたものの、結論には至っていない。ビットコイン誕生から十数年が経過した現在も、その正体は依然として明らかになっていない。
























