米仮想通貨取引所がSECに届出 ティッカーはGEMI
ウィンクルボス(Winklevoss)兄弟が運営する仮想通貨取引所ジェミニ(Gemini)が、ナスダックへのIPO(新規公開株式)を申請した。
クラスA普通株16,666,667株を1株17~19ドル(約2,500円~2,800円)で発行し、最大約3億1,700万ドル(約469.4億円)の調達を見込む。
提出書類はSECのフォームS-1。上場先はナスダックGSMで、ティッカーはGEMIとなる予定だ。株式の売買はSECが登録を有効化するまで行えず、価格決定や実施は市場環境に左右される。目論見書は主幹事を通じて入手できる。
ジェミニは今回、需要超過に備えて30日間のオーバーアロットメント(※1)を設定する。これにより、引受証券会社は同社から最大2,396,348株、既存株主から103,652株を追加取得でき、総調達額の上限は約3億6,100万ドル(約534.8億円)に達し得る。
株式の募集(売出し)で予定数量を超える需要があった場合、主幹事証券会社が大株主から一時的に株式を借り入れ、当初の条件でさらに追加販売する事
引受体制と評価額
主幹事はゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)とシティグループ(Citi group)。モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)やカンター・フィッツジェラルド(Cantor Fitzgerald)などもシンジケート(共同事業企業連合)に加わる。
財務情報では、2024年は売上高1億4,220万ドル(約210億円)、純損失1億5,850万ドル(約234.4億円)。2025年上半期は売上高6,790万ドル(約100億円)、純損失2億8,250万ドル(約418億円)で、調整後EBITDAは3,200万ドル(約47.3億円)の黒字から1億1,350万ドル(約168億円)の赤字へ転じた。想定評価額は最大22億2,000万ドル(約3,285.6億円)で、2021年の非公開評価額71億ドル(約1兆円)を下回る水準での再評価となる。
仮想通貨IPOの波と競争環境
申請は、仮想通貨関連のIPO機運が高まる中で行われ、上場が実現すれば、ジェミニはコインベース、ブルリッシュに続く米国で3番目の上場仮想通貨取引所となる見込みだ。
市場では、公開市場を通じたデジタル資産企業へのエクスポージャーに対する関心が続いている。同日にブロックチェーン融資企業Figure(フィギュア)も申請を更新。1株18~20ドル(約2,660円~2,960円)で2,600万株超を発行し、約5億2,600万ドル(約778.6億円)の調達を目指す計画だ。両社合計の目標調達額は約8億8,700万ドル(約1,313億円)となる。
Figureは2025年上半期に収益1億9,060万ドル(約282億円、※前年比+22.4%)、純利益2,900万ドル(約42.9億円)を計上し、Provenance Blockchainを中核に事業を展開。ユーティリティトークンHASHの20%を保有し、2021年には評価額32億ドル(約4,740億円)で2億ドル(約296.3億円)を調達している。対照的にジェミニは赤字が続くが、IPOで資本市場へのアクセスを確保し、事業基盤の強化を狙う。