リップル社がシンガポールで決済ライセンスを強化しサービス拡大へ

シンガポールの金融街を背景にしたRippleロゴのイメージ写真

シンガポールで広がるリップルの決済エコシステム

ブロックチェーン決済企業リップル(Ripple)社のシンガポール子会社Ripple Markets APACが、MAS(シンガポール通貨庁)からMPI(主要決済機関)ライセンスの拡張承認を受けた。

これにより、同地域での規制対象決済サービスの提供範囲が広がり、アジア太平洋地域におけるリップル社の事業基盤がさらに強化される。

MPIライセンス拡大で企業向けサービスを強化する

リップル社は12月1日の発表で、MASが同社の既存MPIライセンスの適用範囲を拡大したと明らかにした。

同社は2017年にアジア太平洋地域本社をシンガポールに設立し、2023年にMPIライセンスを取得して以降、シンガポールを主要拠点として事業を展開してきた。今回の承認により、企業向けの規制対象決済サービスが一段と広がり、より効率的で迅速な越境決済を支えるインフラ整備が進む。

リップル社が提供するデジタル決済トークンサービスでは、XRPとステーブルコインRLUSDを活用した国際送金が可能となり、企業は複雑な銀行インフラを経ずに決済や資金管理を行える。モニカ・ロング(Monica Long)社長は、シンガポールが示す明確な規制ルールを評価し、「透明性あるルールによって企業は本質的な課題解決に集中できる」と述べた。

アジア太平洋担当副社長フィオナ・マレー(Fiona Murray)氏も、地域全体のオンチェーン活動が前年比約70%増加している点を示し、今回の拡張承認が金融機関支援の強化につながるとした。

RLUSDとXRPを活用した決済ネットワークが広がる

リップル社の決済プラットフォームRipple Paymentsでは、XRPやRLUSDといったデジタル決済トークンを用いた送金が可能であり、企業は資金の回収から交換、支払いまでの一連の決済フローを効率的に処理できるようになる。

また、従来求められていた複雑な銀行インフラや個別の資産管理を最小限に抑えつつ、デジタル資産へ容易にアクセスできる点も特徴である。

RLUSDは米ドル連動型ステーブルコインとして各地域への導入が進んでおり、MastercardやWebBank、Geminiとのパートナーシップを通じてクレジットカード決済の試験運用も開始された。さらに、SBIホールディングスとの連携により、2026年初頭に日本市場での導入が予定されている。また、アブダビの規制当局であるADGMが、RLUSDを規制対象の法定通貨参照トークンとして承認するなど、国際的な採用も広がっている。

XRP市場の反応

規制承認の追い風にもかかわらず、XRPは記事執筆時点で2.04ドル付近まで下落し、7%以上の値下がりとなった。

一方で、過去24時間の取引量は57%増加しており、市場全体の売り圧力が強まる中でも取引参加者の関心は高い。CoinGlassのデータでは、XRP先物建玉が減少し、デリバティブ市場では弱気姿勢が見られている。

規制面での承認と企業向けインフラの整備が進む中、リップル社はアジア太平洋地域を中心に決済ネットワークを拡大しており、今後の事業展開が注目される。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム